「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る 元介護職 兼 介護支援専門員の日常

2023-01-01から1年間の記事一覧

火葬担当 大切な入居者を見送る

その日私は火葬を担当することになっていた。 その日の予定表に、故人の氏名、生まれ年、性別、霊柩車の到着予定時刻、葬儀社名が記載されている。性別、年齢、時間を勘案して火葬炉を決定する。 一番最後の欄に、りきさんの名前を見つけた。 りきさんは去年…

喉仏と胸仏

喉仏は第二頸椎で、頭を支える首骨の上から2番目の骨。仏様が座禅をしている姿に似ている事から喉仏と呼ばれる。 喉仏に限らないが骨は骨密度が高い人ほど火葬後にお骨の形が残り易い。 最近、収骨の際に 「手にも喉仏みたいな仏様があるんですか?」と尋ね…

「ブラック企業」を逆手にとって

「ブラック企業」を検索すると、 厚生労働省においては定義をしていないが一般的な特徴として 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行する等企業全体のコンプライアンス意識が低い このような状況下で労働者に…

心の不調時は勇気を出して外へ

今週のお題「体調が悪いときの過ごし方」 咳や鼻水、発熱等明らかに身体の不調の場合は薬を飲むとか暖かくして早く寝るとか対処のしようがあるが、心が疲れている事が原因の場合は自分の力だけで改善出来ない時がある。出かける事自体が億劫になりがちだが、…

納車記念 Wステーキ

息子の新車が納車された。 偶然見た新車商談会の広告を息子にも見せたのは私だが、私が仕事へ行っているうちに息子は一人でディーラーへ商談に行って試乗や購入契約をし、手続きや印鑑登録等もして必要な書類を揃え、払い込みまで何もかもを一人でやってのけ…

収骨後の骨箱と風呂敷はそのままで

火葬場では霊柩車から降ろされたお棺の蓋を開けるのは炉前で最後のお別れをするときに限っている。その際も中に入っている物を改めて見る事も取り出す事もしないので、お棺にご遺体以外に何を入れてあるのかは斎場職員には分からない。 火葬を終えて収骨をす…

斎場語録

私が勤める斎場では告別室で焼香や各々宗派のおつとめをした後、火葬を行う。葬儀社で葬儀を終えて霊柩車の後に車列をなして来られる場合もあれば、斎場で親族同士が待ち合わせて骨葬をされる場合もある。 職員は、遺族が炉前で故人の棺を炉へ見送り火葬後に…

電話で心の動きが伝わる

私の愛車に15年目の車検の案内状が届いた。 タイヤ2本その他劣化による交換部品を含み18万円位になる。 そうして車検を済ませたとしてもこの車はどこかに不具合が出てくる可能性があるという理由で、車検を受けない選択肢を提示された。 新車、中古車の購入…

ブログが続いている理由

特別お題「わたしがブログを書く理由」 今月始め、遠方で独り暮らしをしている娘から14日~18日の予定で帰省すると連絡があった。 私のシフトは12日と18日が休みになっている。 上司が12日の休みを14日以降に変更してもいいと言ってくれたので、12日に約束し…

誰かと繋がって心の健康を取り戻す

私って友達いないんだろうかと思う程、ここ数年遊びやドライブ、ランチに行く友人と疎遠になっていた。 私、避けられてる? どうしてこんなに独りぼっち? それが気になり始めたのはきっと自分の心が弱っていたからだと、最近ようやく思えるようになった。 …

飛べないカブトムシ

火葬棟事務所の窓の外に郵便受け渡し用の木箱がある。 お盆を過ぎたある日、立派な角を持った体調6㎝位のカブトムシがその箱の上を歩いていた。 事務所の皆で「こんな所に」と言いながら眺めていた。 いつまでも居るので不思議だった。 近くでよく見ると、硬…

ばね指手術

今年2月1日の朝目覚めると右手中指の第一関節だけがカクンと曲がったままだった。 痛みは無かったが、手をグーに握り広げようとする度に中指の第一関節だけが曲がったままになった。力を入れて伸ばすとカクンと伸びる。 3月には2年前に受けた股関節手術後の…

危険物資格取得 手当は月額500円

5月の事前講習会で、前回の乙四試験前期日程の合格率は19%だったと聞いて震え上がった。化学の得点率が低かったらしい。そんなに難しい試験に挑もうとしているの? いや確かに難しい。 法令、物理・化学、性質・消火の3科目に分かれたマークシート方式で、各…

ぎっくり腰

やってしまった。 公休日の午前中。風呂掃除をしようと排水口のゴミを取ってゴミ箱に入れ、立ち上がろうとしたときだった。 あ、あれ? あああ・・ ギクッと音がしたわけではない。 急に痛みに襲われた。 腰全体を触っても、押しても、どこが根源か分からな…

自立以上(?)介護未満の母

80代前半の父と70代後半の母は2人暮らし。私は私の家族と市内に住んでフルタイムで働いている。 母から「庭のキュウリとゴーヤが元気です。取りに来ませんか?」とメールを貰い、仕事帰りに寄る。 以前は帰りが遅くなるからとか、次の休みにとか理由を付けて…

歯痛は虫歯以外でも

歯科に通っている。 右下の奥歯が痛いと思い受診した。 銀歯が被さっている歯かもしれないので、銀を外す前にレントゲン検査をしてみると、虫歯は無い事が判明した。 歯周病になっているのでそのせいかもと言われ、口腔ケアが施された。0.数ミリの小さな塊が…

今時の中学生を取り巻く環境

今週のお題「30万円あったら」 気持ちに余裕が出来るだろうと思う。知り合いでもない人にたかられたり寄付を求められる程の金額でもなく、微妙な金額設定が何とも言えないね。 私なら一旦は給料が入る生活口座とは別の口座に入金するけど、いつ壊れるか分か…

「全骨収骨」に拘らなくても

斎場で焼香が終わるとお棺を炉へ収め断熱扉を閉めて火葬が始まる。火葬が終わって温度が下がるのを待ち・・と言っても400℃を切った辺りなので熱々だが・・断熱扉をこの時初めて開ける。骨受け皿には木製のお棺に使われていた釘類、排気ファンやボイラーの勢…

危険物受験 勉強する楽しさと覚えられない辛さ

「乙四」と聞いてすぐに分かる方もいるだろうが、私は分からなかった。 まず「何語?」・・日本語でお願いします・・というレベル。 その言葉を初めて聞いたのは去年の年末頃。去年入職した3人に責任者が言った。 「来年、3人は乙四ね。6月かな」 一緒に入職…

クレジットカード 契約は易く解約は難し

時々行くショッピングモールで、我が家の娘とそこの息子さんが同級生のお母さんが立っていた。ちょうど娘と一緒に行っていたので「久しぶり」と声をかけた。 その日彼女はそのショッピングモールが提携してお得に使えるクレジットカードの契約者を募っており…

凹んだ時の対処法 文字より声

仕事で凹む事があった。 その日帰宅していつものように夕飯を準備し、出来上がる頃息子が帰宅したのだが、 「疲れた。お腹空かないから先に食べてて」と言い、隣の部屋の畳の上であちらを向いて横になっている。 息子も色んな事があるだろう。 私もあれこれ…

参観日「待っちょったのに」 捨てられない手帳

先日23歳の誕生日を迎えた息子は社会人になってもうすぐ1年。口数は多くないが、発する言葉は中立的で的を得ている。時に「そんなに言わなくたって・・」と思うような図星な発言があるが、よほど言わずに我慢した挙句にようやく口にしたのかと思われる時と、…

息子の冷静なツッコミに脱帽

自家用車を購入して1年になる。 3年落ちの中古車で2万㎞走っていた。 自分の運転に不安があったので、今回購入する車は安全装置満載にし、それなりに高額でも納得して購入した。 購入して1ヵ月後、車列に並んでいる時に後ろから追突され、バンパーを修理し…

おひとりさまの終焉

遺族が1人とか2人とかいう場合、家族だったり、後見人だったり、市役所職員だったりするのだが、施設職員が一人で見送りをされたケースがあった。 霊柩車でお棺に入った故人様だけが到着した時、運転手が 「今月末には108歳になるんだったって」と言った。 …

暴言を受け流す技

お題「わたしの仕事場」 私より3か月先に入社したH先輩と、私より1ヵ月後に入社したT氏は20代前半の高校の同級生同士。私が入社した時には、H先輩は他先輩方と同じにバリバリ仕事をしていた。私やT氏に対しても惜し気なく教えてくれるし声もかけ易い。 ある…

丁寧で親切な対応を心がける

私の勤める斎場は公共施設でありながら、PFI方式(Preivate Finance Initiative)で民間企業が火葬業務を行っている。 定期的に統括する支店からモニタリングを受け、日々の職員の対応や施設設備管理、環境整備等チェックがある。 モニタリング結果報告に支…

霊柩車と自家用車で到着時刻が違う

今週のお題「かける」 葬祭業でも接客が主な仕事なので遺族に声をかける事から始まる。 葬儀社から斎場へ故人の棺と共に霊柩車に乗って来る方が喪主とは限らない。どんな方が来られるかも当然だが分からない。たいていは故人の家族が遺影や位牌を持って霊柩…

ばね指⁉

朝目覚めると右手中指が曲がったまま伸びない。カクン!と痛みがあり伸びたが、これがばね指かと思った。 1年近く前から右手親指付け根が痛かった。整形外科に掛かり母指CM関節症と診断を受け、専用の装具を購入した。良くはならないと言われている。「こん…

雪の日の反省

10年に一度の大雪と言うが、10年前から今年までこんなに低い気温は記憶にない。 出勤時間を1時間くらい遅らせて車に積んだ雪を落とし、エンジンをかけて家を出た。上り坂をゆっくり進んでいたら、職場の上司から電話。車を停めて話して良かった。現在地を知…

小さなお棺

立て続けに死産の火葬があった。 妊娠12週以降に母体内で胎児が死亡した場合は病院で死産届書を受け取り、役所に提出する。役所から火葬許可証の発行を受け、斎場にて火葬が行われる。 幼いお子様の手を引いて来られる時もある。喪主夫婦に悲壮感が無ければ…