「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る 元介護職 兼 介護支援専門員の日常

2022-01-01から1年間の記事一覧

死後を考える

特別お題「わたしの2022年・2023年にやりたいこと」 私の2022年は転機の年だった。 介護の世界で利用者を看取る事はあったのだが、今はお棺に入って葬儀社から霊柩車に乗って来る故人を受け入れ遺族と共にお見送りする仕事をしている。故人はその間に身体を…

仏様の意思

今週のお題「ビフォーアフター」 転職した。 介護業界から葬祭業へ。 介護を始めたきっかけは、仕事を求めてハローワークに通っていた時に壁に貼ってあった介護職員基礎研修の基金訓練受講者募集だった。自分の親に介護が必要になった時に適切なサービスを受…

初めてのボーナスの使い道

冬のボーナスが出たらしい。 夜仕事から帰って来た息子が、夕食の支度をしている私の横に来て 息子「ボーナス出た」 私 「おぉ、おめでとう!」 息子「何食べたい?」 私 「え?外食で?」 息子「うん」 今春就職した息子にとって、初めて満額支給されたボー…

棺の中に入れる副葬品は可燃物を

斎場での私の仕事はほぼ接客業務。 火葬業務は一通り教えて貰うが、それは火葬を担当する職員の動きを理解した上で接客をして欲しいとの責任者の指示だった。 ある日突然「今日火葬やってみる?」と責任者に同行して貰い実際の業務を担当した。 それから数日…

収骨壺を選ぶ時の注意点

人が亡くなるのは突然の事で、事前準備をしているのは稀だ。 葬儀社で紹介される収骨壺の大きさもデザインも、時には名入れが出来たり、壺を入れる化粧箱や風呂敷、結び紐が付いていたり様々だ。実際に墓に収める時には骨壺のみだったりするので、化粧箱等の…

ペースメーカー埋め込み有りの申告が必要な訳

斎場でのお見送りや収骨に立ち会い、故人がどのように生きたか、愛されたかが窺われる場面がある。 葬儀社を出棺後、斎場でお勤めと焼香をして火葬炉に入る直前に最後のお別れをする。 お棺の中のお顔を自然に撫でる行為は、その方への情の証だと感じる。 火…

入職1か月後に後輩が出来た

私と1ヵ月違いで新人が入職し、半月が経過した。 その一生懸命な姿に、1ヵ月前の自分が客観的に重なって見える。 新人は既に告別後のお別れの口上は出来るようになって独り立ちし、今は収骨の勉強中。新人の今だから色んな職員のやり方を見て学べて羨ましい…

収骨にて

斎場での出会いは一期一会。 その場での対応がこの斎場職員の態度と捉えられると考えると、かなり気を遣う。 故人を独りでお見送りされた女性がいた。 緊張した面持ちでこちらの進行に従いお見送りをされ、1時間余り経って収骨の案内に従い収骨室に入られた…

炉前の人間模様

葬儀社での告別式を終えて斎場に来られるのは故人に近い関係の遺族が来られる場合が多い。コロナで人数制限が設けられていたが、最近は多少緩和されている。 火葬炉に入る棺を見送る前には色んな人間模様がある。 「ばあちゃん、目を覚ませ! 今なら間に合う…

斎場へ転職 毎日一生懸命

お題「わたしの仕事場」 転職して1ヵ月。毎日一生懸命だった。 介護施設を退職して斎場に就職。 明るい職場で驚いた・・というか、私の勝手な想像で暗い職場をイメージしていたのだと思う。 霊柩車を迎え、告別室でお勤めが終わると遺族は火葬炉の前で故人と…

突然の不調 

朝7時過ぎに起きて来た息子が何となくぐったりソファに寝転んでいる。 「またあの症状」と言う。夜中に突然の頭痛、吐き気、耳鳴り、腹痛。目をあけているはずなのに目の前真っ暗。これが3回目だと言う。3回とも夜中に症状が出ている。2回目はコロナワクチン…

勤務最終日の複雑な心境

最後の勤務を終えた。 最終日は日勤で事務だった。業務の引継ぎをし、入居者家族に挨拶の電話をし、関わった職員に挨拶をして、ロッカーを片付けて、残りの時間はフロアで入居者と関わろうと思った。 夕食を終えてゆっくりしている入居者一人一人に 「今日で…

台風14号

自宅に居てこれほど恐ろしいと思う暴風雨も記憶に無い。 3連休だが、市役所土木課勤務の息子は自宅待機で日中も夜間も携帯を側に置いて過ごしていた。 土曜日の午後工事現場を見に行っていた。 日曜日夕食後に「0時に出勤する」と言う。要請があったようだ…

退職まであと2日 最後の担当者会議

退職が近づき、一つずつ行事が終わっていく。 最後の担当者会議を開催した。公休や夜勤明けの職員も午後の会議の時間には出勤して会議に参加する。 「私が司会をする最後の担当者会議です。よろしくお願いします」と始め、最後に「お陰様で無事終わりました…

職安窓口対応の違い 就職決まったら辞める前にする事とは?

ハローワークで求職活動していた時 「次の仕事が決まったら、今の仕事を辞める前に来て下さいね」と言われたのに、決まったから行ってみたら、窓口で 「え? いや、何もありませんよ」と言われた。 窓口対応した人は違う人だったけど、そんな事ある? ちょっ…

介護業務最終日 ボソッと聞こえる職員の本音

介護現場の勤務が終わった。 最終日は遅番に人員不足の為の1時間超過勤務が付いていた。 最後まで超過勤務。 現場はこんなに人員不足なのに、退職してごめんなさい ちなみにこの日は夜勤明けにも早番にも漏れなく各々超過勤務が付いていた。 早番だったT氏が…

職員が発した言葉は施設としての言葉

土曜、日曜、月曜の3連勤は早番、遅番+1時間超過勤務、早番の勤務だった。 早番の翌日の遅番はいいが、そこに人員不足の為の1時間超過勤務が付いた上でクタクタになって帰った翌日、早番で出るのはキツイ。 最後の早番の日、私は午前中入居者一人の認定調査…

相次ぐ救急搬送 家族の葛藤

90歳目前のすゆさんは息子様にとても大切にされている。 これまでも「面会したいけど窓越しでは余計に悲しいから面会は結構です」と言われた事がある。 最近すゆさんは嚥下が良くない。よくむせる。 今月になって刻み食から極刻み食へ変更になり、食べ物にも…

連日救急搬送 施設入居者と職員

退勤時間を過ぎたが前月の勤怠管理を終えようとしていた時だった。 「救急車が来る。グループホームの入居者って」と宿直担当者が伝えに来た。 その日私は本部事務所で事務仕事をしていたのだが、その知らせを受けてグループホームへ様子を見に行った。 ホー…

息子の就職 4か月経過

息子が就職して4か月が経過した。 県庁と国土交通省の内定を断って本人の意志で地元市役所に勤めている。本人はそれを口に出す事も比べる事も無い。 私も今はこれで良かったのだと思える。 「自分のミスで周囲の職員さんに迷惑をかける。一つミスが見つかる…

「よう働くね」公休日の母へ息子の一言

私に限らず働くお母さんは誰もがそうだと思う。 仕事が休みの日には自宅で家事をする。掃除、洗濯、買い物・・・ 晴れたら布団関係やカーテン等も洗濯したい。 庭の草引きも。 そして玄関のドアを開け放して玄関マットを外に干し、掃き掃除をしていた時だっ…

年が書いてあるイベントTシャツの意義

今週のお題「二軍のTシャツ」 決して二軍扱いしている訳ではない。ジャザサイズのイベントTシャツ2005年版。初めて買ったイベントTシャツだった。その後も買う事はあったのだが、私の中でその一枚は後になるほど特別な物となった。 施設で入浴介助を担当する…

子供が売り物のキュウリを叩いて戻した。その時親は

近所のスーパーで食料品の買い物をしていた時の出来事。 夕方仕事を終えて保育園へ迎えに行き、このスーパーで夕飯の買い物をしているんだろうなという感じの若い女性と4~5歳位の男の子がいた。 売り出しの段ボール箱に1本48円のキュウリがあった。 男の…

「ガラス越し面会では余計に悲しいから面会は結構です」

コロナ禍で面会が制限されている。 完全予約制で1日3組15分以内。 施設入口の2重扉の内側のガラス扉を隔てる。 ただでさえ耳が遠めの高齢者なので、ガラス扉を挟んで顔を見ながら電話で話したりする。 認知症高齢者の中にはガラス越しでの面会が理解出来ずに…

「ケアニン」を観て思う事

「ケアニン」とは介護、医療、リハビリ等ケアを必要とする人のお世話をする立場の人を指す。 高齢者福祉団体である公益社団法人全国老人福祉施設協議会とコラボして一話数分のショートムービーが制作、公開された。職場に大きなポスターが貼ってある。お昼ご…

採用通知を素直に喜べない理由

採用通知が届いた。 採用面接から1ヵ月以上経過している。 その間、現場見学をさせて貰ったり、健康診断をして結果を提出したり、電話がかかって「もしかしてやっぱり辞めようか、とか思ってます?」と探りを入れられたり。 逆に「私でいいんですか?」と尋…

時代と共に給食への思いが変わる

昔好きだった給食のメニュー・・・しいて言うなら、揚げパン。 私が小学生だった昭和50年代はコッペパンと瓶牛乳は毎日だった。このパンが苦痛だった。食べられなくても、残す事は許されず、昼休みになっても、その後掃除の時間で机が教室の後ろに下げられよ…

「飴ちゃん頂戴」101歳の願い

90代後半の男性入居者の退居に伴い、次に入居したのは101歳女性りきさん。要介護2。 同居の娘様は79歳。「私ももう腰や膝が痛くて」と言われる。 デイサービスやショートステイを利用しながら入居施設の空きを待っていた。 よくここまで居宅で頑張ってこら…

続・偏見

採用面接から日にちが経ち、何度も連絡を貰っていたにも関わらずこちらの携帯電話が受診していなかったせいで諦めかけていた。 採用担当者に電話し謝罪すると、まだ採用審査は続いているとの事で、現場見学を打診された。 受付から火葬、収骨迄の一連の流れ…

偏見?

採用面接を受けた。 応募した際に電話で「斎場ですけどいいですか?」と尋ねられたのがずっと引っかかっていた。 面接でも同じ質問があった。 「葬儀社ではなく斎場です。火葬場のスタッフですが、大丈夫ですか?」 通夜や葬儀をする葬儀社より、私は究極最…