「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る 元介護職 兼 介護支援専門員の日常

2024-01-01から1年間の記事一覧

埋葬・火葬許可証、分骨証明書が必要な訳

70代男性T様の火葬があった。 葬儀社で葬儀を終えてから斎場へも遺族は子供を含め30人来ていた。 炉前で故人へのお別れをするのにも冗談を言っては笑い合い、時間がかかっていた。 他にもお別れをして火葬の順番を待つ故人、遺族があるので、私は会を進めな…

私のカミングアウトと息子の成長

最近息子が優しい。 ようやく心を開いてくれるようになったと感じる。 社会に出て2年。大人になったのかもしれない。 私がカミングアウトしたせいもあると思う。 「外出や外食があるのは分かる。行っていい。無事でいることが分かればいい。ただ、本当の事を…

子供の好奇心に答える大人の責任

今週のお題「練習していること」 収骨の進め方は職員それぞれだと思うが、私は収骨中喋り通している。 一つ一つお出しするお骨を、これは体のどの部位のお骨だと私が分かる限り伝えている。気にしない、又は聞きたくない遺族はスルーして構わない。 「え? …

100万円自由に使えたら

ギャンブル依存症で6億円超の借金などとニュースが流れ、職場でも話題になった。 6億円って目の前で見たらどれくらい?・・誰も見当がつかない。 1億円は? 1千万円は? そこまで来て現実味を帯びる。 1千万円あったらいいねぇ。 100万円でもいい。 100万円…

ツンデレ息子に取り憑かれている母

今週のお題「卒業したいもの」 息子とは母親にわざと冷たく当たるものなのか? こちらの質問に小声で答えて聞き取れず、聞き返してうるさがられるのは茶飯事。 今日は2人の休みが合うので、エアコンを買いに付き合ってほしいと先週から頼んでいた。そして朝…

葬祭業でも笑顔はある

斎場では葬儀社のアシスタントが遺族を案内、誘導する。葬儀社の社員だったり、系列業者からの派遣だったりする。 斎場に早めに到着して担当家遺族を告別室へ案内する。 人数を数えて揃ったら焼香や各宗派のお勤めを促す。 お勤めが終わったら斎場職員に知ら…

地元斎場ならではの出会いは複雑

地元の斎場に務めて早1年半になる。 当然だが、知っている人に結構出会った。 先日は私が初めて介護に携わった施設で主任をしていたSさんが、お母様が亡くなり遺族として来場された。 S家のお別れの時には私は他家の収骨を担当していてSさんとは会っていな…

公立高校入試出願状況発表 家族の受験戦争を振り返る

受験シーズンも終盤にさしかかる。 先日公立高校入試の出願が出揃い、受験倍率が発表された。 夕方のローカルニュースを見ながら、息子と夕食を摂っていた。 県内ほぼ1倍台で、2倍が数校あったが、我が家の近隣の高校は1.0~1.1倍で、希望校に入学出来る計算…

「おかあさん、かわいい」お棺の奥様へ

今週のお題「元気を出す方法」 元気が無い時、元気を出すために自ら何かに働きかけるのはしんどい。 最近ふっと顔がほころんだり、心が和んだりする出来事を思い出す事があって、この仕事が嫌だとは思わない。 斎場前に霊柩車が到着し、故人の棺と遺族が降車…

改葬 土葬から納骨へ

改葬(かいそう)とは、お墓の引っ越しのことで、斎場で行う改葬の内容としては、土葬されていたお骨を遺族が斎場に持ち込み、火葬して持ち帰る事を指す。 昭和初期まで土葬が行われていた。ほんの少し前の世代だ。 現在は人が亡くなると火葬→収骨→納骨の流…

職場外での交流、懐かしい感覚が蘇る

今週のお題「最近おいしかったもの」 転職して一年が過ぎ、職場の皆での会食に初めて参加した。 毎年組合から斎場職員に親睦会名目でお金が出ているそうで、コロナの行動制限があった数年間は自粛していたが、制限が緩和された今年は新年会と兼ねて開催され…

斎場の意義とお別れのあり方

斎場には様々な方が来られる。 不思議なのは、他者がするのと同じ行為を形式的にするだけの、故人に対して何の思い入れも無いのが明らかな参列者だ。近親者ならいざ知らず、どう見てもそうでない場合が多々見受けられる。 通夜を済ませ、葬儀を済ませて斎場…

娘の結婚を受け入れる母親の複雑な心境

年末、珍しく娘から帰省すると連絡があった。 何となく、会って話したいんだろうという気がした。 夜、ダイニングテーブルを挟んで娘が座り、私に 「はは、真面目な話。座って。ここに座って」 と両手をテーブルの上に伸ばして向かいの席に私を促した。 私は…