「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る 元介護職 兼 介護支援専門員の日常

危険物受験 勉強する楽しさと覚えられない辛さ

「乙四」と聞いてすぐに分かる方もいるだろうが、私は分からなかった。

 まず「何語?」・・日本語でお願いします・・というレベル。

 その言葉を初めて聞いたのは去年の年末頃。去年入職した3人に責任者が言った。

「来年、3人は乙四ね。6月かな」

 一緒に入職した20代前半の男性2人は「え、そうなんですか?」とすぐに反応したが、私は何の事か分からなかった。

 斎場では火葬の為の燃料を使う。職員全員を対象に、会社は乙四資格取得を求め、その資格保持職員に一定の資格手当を支払う。

 危険物取扱者の免状は甲種、乙種、丙種の3つに分かれている。更に乙種は取り扱いの出来る危険物によって第1類から第6類まであり、このうち受験者数が最も多い試験は乙種4類危険物取扱者試験と言われている。この免状で取り扱う事の出来る危険物はガソリンや灯油、軽油やアルコール類等身近にあるものが多く含まれている。

 インターネットで検索すると、YouTubeがたくさん出て来たので見ていた。

 若い2人がテキストを購入して職場で開いているのを見て、書店に出向いたが数ある参考書問題集の中で何を基準に選ぶのかさえ分からず、それでも1冊購入したものが偶然にも若い1人と同じテキストだったので少しほっとした。

 読んでも言葉も内容も理解出来ない。

 1日仕事を終えて、家事を終えて、夜テキストを開いても瞼がすぐに閉じてしまう。

 試験の1ヵ月くらい前に受験者を対象とした直前講習があるというので、迷い無く希望した。会社としては、試験当日は出勤扱いで受験料は初回のみ会社が支払ってくれるが、2日間ある講習は任意なので1日は有給、もう1日は公休を充てられており、講習費9000円も自費となる。

 4月に受験申込と同時に講習会の参加費用も収め、テキストを受け取った。5月下旬にある講習会までにそのテキストを学習しておく。

 随分先だと思っていたその講習会が今週となり、朝9時から夕方5時まで×2日間みっちり勉強する機会を与えて貰える有難さと、記憶力の限界と、体力的な心配に襲われている。

 休みの日に自宅の食卓でテキストを広げて過去問を解いていた。近くに夫が居り、

私「朝9時から夕方5時まで勉強し続ける自信がない」

夫「学生の頃には毎日してたと思うが」

・・30年以上前・・氷河期以前の化石時代にさかのぼる・・

 学生の頃より社会人になってからの方が勉強をする事が楽しいと思えるようになった気がする。

 問題を解きながら解説を読む。ツッコむ余裕も出て来た。

「問 次のA~Dのうち正しいものはどれか

 解説 A・・

    B・・

    C・・

    D そんなことはない・・って、そんな解説ある?」

 私にとっては、調理師、介護福祉士に続き、3つ目の国家資格取得を目指す。学生時代まで遡らずともその度に勉強してきた。職業遍歴を暴露するようで、誇れるものではないが・・

 危険物は毎年2回試験はあるので、必ずしも1度で合格しなければならないわけではない。気楽に受ければいいよと上司には言われている。全てにおいて若い2人がスポンジのように吸収していくのを目の当たりにしながら、羨ましくもあり、触発されながら私なりに頑張る事にしている。