「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る 元介護職 兼 介護支援専門員の日常

凹んだ時の対処法 文字より声

 仕事で凹む事があった。

 その日帰宅していつものように夕飯を準備し、出来上がる頃息子が帰宅したのだが、

「疲れた。お腹空かないから先に食べてて」と言い、隣の部屋の畳の上であちらを向いて横になっている。

 息子も色んな事があるだろう。

 私もあれこれ詮索する気力も無く、一人で夕飯を食べ始めた。

 そして遠隔地で独り暮らしをしている娘の事が気になった。きっと娘も凹む事があるだろう。一人で受け止め、乗り越えているんだろうか。

「娘ちゃん、元気にしてる? 今日ね・・」と状況をLINEし今日の夕飯メニューを画像で送った瞬間、娘からLINE電話。

「色々あるよねぇ・・」と話し、来月の帰省の事等30分位話して、電話を切る頃には気が楽になり、息子も食卓に来ていた。

 たいていはLINEの文字でやりとりするのに、この時電話をかけて来たのは娘の機転だ。直接声で言葉を交わすのは、文字とは違う効果がある。

 

 数週間前に娘とLINEの文字でやり取りしたのは、立て続けに若い方の火葬があった時だった。

 独り暮らしの女性が死後数日経って発見されたり、バイク事故で意識不明が続いた若者がお棺で運ばれてきた。火葬炉へ見送る親のやりきれない心情が伝わって来る。

 心も体も健康に過ごして欲しいと、娘に伝えた。

 

 今生きている事は、当たり前ではない。

 明日の命は保証されない。

 良い事ばかりでもない。

 それでも今を生きる。

 同じようで違う毎日を過ごしながら、ストレスを抱え、考えを巡らし、昨日より今日、今日より明日がより良くなるよう願う。

 疲れた時に飲むドリンク剤を冷蔵庫に常備し、「疲れたね」と言い合える仲間や家族がいれば、なおいい。