「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る 元介護職 兼 介護支援専門員の日常

小さなお棺

 立て続けに死産の火葬があった。

 妊娠12週以降に母体内で胎児が死亡した場合は病院で死産届書を受け取り、役所に提出する。役所から火葬許可証の発行を受け、斎場にて火葬が行われる。

 幼いお子様の手を引いて来られる時もある。喪主夫婦に悲壮感が無ければ職員も救われる。

 小さな棺箱を炉におさめる。

 排気ファンや炎で小さな遺体や遺骨が吹き飛ばないよう棺の周りを煉瓦で囲み、注意深く見守りながら火葬を進める。

 妊娠4か月頃の自分を思い返す。

 無事に出産出来る事は決して当たり前の事ではないのだと改めて思う。

 故人の小さな体がそこにあり、見送る両親と兄姉がいる。

 確かにそこに、命はあった。