「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る 元介護職 兼 介護支援専門員の日常

喉仏と胸仏

 喉仏は第二頸椎で、頭を支える首骨の上から2番目の骨。仏様が座禅をしている姿に似ている事から喉仏と呼ばれる。

 喉仏に限らないが骨は骨密度が高い人ほど火葬後にお骨の形が残り易い。

 最近、収骨の際に

「手にも喉仏みたいな仏様があるんですか?」と尋ねられた。

 手の指先のお骨は胸仏(むなぼとけ)と呼ばれる。

 故人の両手を胸の上で組むので胸仏と呼ばれ、仏様の立ち姿に似ていると言われる。

 収骨骨上げは日本独特の慣習で、収骨をしない方も一定数おられる。

 宗教やお墓問題等様々だろうが、斎場でその理由を尋ねる事はない。

 先日、炉前で名前の確認をする前に、

「字が違う! こんな事あるんですか⁉ はぁっ!(息)」と吐き捨てるように言う遺族がいた。旧字体と現在の常用漢字の違いだった。

 私達は遺族からの申し出があればその場で意に沿うように対処するよう指示を受けているので、その時もその遺族が言われるように書き換えたのだが、斎場で使用する字は役所から発行される火葬許可書に沿っているので、気になる場合は役所に確認されるのが良いと思われる。

 その後その方は故人の戸籍等諸々の書類上の手続きをして、自分の勘違いだった事を知るのだろう。亡くなって初めて親の字がそれだと知るとは・・複雑な気がした。