「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る 元介護職 兼 介護支援専門員の日常

斎場語録

 私が勤める斎場では告別室で焼香や各々宗派のおつとめをした後、火葬を行う。葬儀社で葬儀を終えて霊柩車の後に車列をなして来られる場合もあれば、斎場で親族同士が待ち合わせて骨葬をされる場合もある。

 職員は、遺族が炉前で故人の棺を炉へ見送り火葬後に収骨をする手伝いをする。

 非日常で慣れていない方が大多数なので、心情に配慮し丁寧に接するよう心掛けている。

 遺族の気持ちが伝わってくる場面や、遺族間や故人との関係性が表れる場面、記憶に残る言葉がある。

 

炉前にて

・ご主人のお棺を炉に入れて閉め、待合室はあちらと示した直後、

 喪主「もう火がつきましたか? 焼かんといてください」

 ・・一緒の遺族が喪主をなだめ待合室へ向かわれた・・

 

・棺の中の顔を擦りながら

 遺族A「眠ってるみたい。お母さんって呼んだら起きそう」

 遺族B「そんな事言うたらホントに起きるぞ」

 ・・慌てて手を放し離れた・・

 

・棺を炉に入れた瞬間、

 遺族C「一緒に入ったらどうや?」・・😲・・

 遺族D「いや、もう少し生きたい」・・😌・・

 

 

 

収骨にて

・収骨室に入り、全身のお骨が乗っている収骨台車の隣の台に箸が並べて置いてあるのを見た小学生「え? これ食べるの?」

 

・収骨前「お手荷物はこちらへどうぞ」と棚を示すと

 大人はハンドバッグを置き、子供はセミの抜け殻を置いた。

 

・収骨前 私「台車の周りが熱いのでお気を付けください」

    遺族「ああ、お父さん、あったかい」

 

・故人となった奥様のお骨を一つだけ手元に置いておきたいので持ち帰る90代男性。手指の小さいお骨を一つハンカチに包んで両手で大切そうに持ち

「宝物が出来た」と呟いた。

 

・奥様の収骨を終えて「次はワシや」

 

その他

・火葬件数が多くててんやわんや。斎場の売店で、

「こんなに多くちゃ大変でしょ。お釜が足りないよね」

 ・・炉です。煮るんじゃなくて焼くんです・・