「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る 元介護職 兼 介護支援専門員の日常

私のカミングアウトと息子の成長

 最近息子が優しい。

 ようやく心を開いてくれるようになったと感じる。

 社会に出て2年。大人になったのかもしれない。

 私がカミングアウトしたせいもあると思う。

「外出や外食があるのは分かる。行っていい。無事でいることが分かればいい。ただ、本当の事を言って欲しい。父さんが息を吐くように嘘やその場しのぎで誤魔化す人だったから、私は心に闇を持ってしまっている。そのこと自体に私自身が気付いたのが最近の事で」と。

 息子は驚いた顔をしていた。

 そして

「分かった。でも、明らかに母さんが知らん人だったら言わんよ。『中学の友達』とかってだけ言うね」

 以来、休日のお出掛けや夜の会食等、聞けば答えてくれる。

 こちらから聞かなければ何も言わないのは、これまでと変わらない。

 ある日、上着のポケットから名刺入れを取り出して上着を洗濯に出しながら息子が言った。

「名刺入れ、ちゃんとしたのを貰っててよかった。名刺交換する時結構目に付く」

 就職前の誕生日にアーノルドパーマーの名刺入れをプレゼントしている。市外まで広範囲に探し回り、新人らしく、あまり高価でなく、それなりにきちんとしたものを選んだ。2年経って気持ちを言葉で伝えてくれるのは本当に嬉しい。

 今月に入り、息子は毎日仕事の帰りが遅い。何か工事があるのかと尋ねてみた。

息子「発注があってね。見直せば見直すほどミスが見つかる。無駄な時間だと思う。仕事が遅い気がする。もっとしっかりせんといけんと思う」

私 「任されてるんだね」

息子「そりゃあもう3年目だし。間違えるわけにはいかんよ。お金も絡むし」

 任された仕事に誠実に向き合い、全うしようとする息子の責任感が見える。

 頑張ってる。

 私も頑張らなくちゃ。

 息子の存在が励みになる。