「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る 元介護職 兼 介護支援専門員の日常

連日救急搬送 施設入居者と職員

 退勤時間を過ぎたが前月の勤怠管理を終えようとしていた時だった。

「救急車が来る。グループホームの入居者って」と宿直担当者が伝えに来た。

 その日私は本部事務所で事務仕事をしていたのだが、その知らせを受けてグループホームへ様子を見に行った。

 ホーム長は「用事がある」と言って退勤時刻に退勤して連絡が付かず、管理者はシフト休み、ユニットリーダーも前日夜勤明けで当日は明け休みだった。

 夕方入居者の意識レベルが下がり、主治医に連絡したところ、救急搬送の指示が出た。

 遅番が不安そうに救急隊に入居者の様子を話しながら救急車に同乗し、夜勤者はユニットに残った。

 見かねた施設長が分からないながらも本人の内服薬や義歯、着替え等の用意を手伝おうとしていた。そこへリーダーが飛んできて介護サマリーを用意する。

 金曜日の夕方6時半。

 地域の救急指定病院に搬入を拒否され、救急車は30分以上施設前から動けずにいた。

 私は社用車を手配し、少し離れた、搬送先の病院へ運転した。

 その助手席で介護サマリーを持ったリーダーがホーム長や管理者へ状況を電話連絡し、救急車に同乗した遅番には病院に向かっているのでそこに留まるよう促して、後部座席には搬送された本人の薬や着替え等を乗せていた。

 搬送された入居者はそのまま入院になった。病院に来ていた家族と一緒に検査結果を聞き、21時頃リーダーと遅番と一緒に施設に戻った。

 

 翌日は公休日だった。

 午後、食卓に書類を広げて仕事をしていた。

 そこへホーム長から電話。

「勤務していた遅番職員が救急車で搬送された。早番職員が同乗した。人手が足りないのだがすぐに出勤出来るか?」と。

 もちろん出勤しますと答え、バタバタと支度をする。

 傍のソファでくつろいでいた息子が

「母さん、今日休みよね? でもそこのテーブルで仕事してたよね? 今から出勤? で? 俺が夕飯作るんじゃろうね? 冷蔵庫に何があるか言って」

 ごめん、お願いねと告げて出勤すると、昨日飛んで来た隣ユニットのリーダーがこちらのユニットの応援に来てくれていた。昨日はお疲れ様でした。そして今日はありがとうございますと礼を言い、勤務に入る。

 翌日は本部事務所で事務をする勤務になっていたが、搬送された職員が入院になった為、急遽遅番でユニットでの介護業務に入る事になった。

 

 毎日のように何か起こる。

 生きるって、大変なことだ。

 組織に所属して働くことも。

 家族も巻き添え。

 来月は退職までの有給消化の為、二日しか出勤日が無い。

 あと少し。

 もう少し。

 頑張れ、私。