「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る 元介護職 兼 介護支援専門員の日常

ペースメーカー埋め込み有りの申告が必要な訳

 斎場でのお見送りや収骨に立ち会い、故人がどのように生きたか、愛されたかが窺われる場面がある。

 葬儀社を出棺後、斎場でお勤めと焼香をして火葬炉に入る直前に最後のお別れをする。

 お棺の中のお顔を自然に撫でる行為は、その方への情の証だと感じる。

 火葬炉へゆっくり入ろうとする棺を擦る遺族がいる一方で、遠巻きに眺めている遺族もいる。核家族化が進み親戚付き合いが希薄になっている昨今、それもまた自然な事だと思う。

 市職員の立ち会いで斎場に安置され、収骨もあったり無かったりする場合もある。身元は分かっても引き取り手の無い遺骨が存在する。

 この職に就いて、考えさせられる事は多い。

 

 死亡診断書を役所に提出して戸籍を抜く手続きがあり埋・火葬許可証が発行される。    

 生前体内にペースメーカーを装着されていた場合は火葬前に申告が必要だ。

 病院で亡くなった場合に以前は取り除かれたらしいが、最近はそのまま火葬をする場合が多い。火葬中にペースメーカーが破裂して飛び散り、小窓を開けて作業をしていた職員が怪我をした事例がある。「ペースメーカー有」の記載があれば職員は気を付けて炉内での破裂音を確認後にゆっくり小窓を開ける事が出来るし、導線が炉内に残らないよう特に気を配る。

 毎日の火葬件数を知り、毎日この近隣でこんなに人が亡くなり、悲しむ人たちがいるのかと驚く。これから寒くなると毎年その件数が多くなっている。

 誰も皆、身体を大切に寒さを乗り切ってほしい。