「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る 元介護職 兼 介護支援専門員の日常

娘の結婚を受け入れる母親の複雑な心境

 年末、珍しく娘から帰省すると連絡があった。

 何となく、会って話したいんだろうという気がした。

 夜、ダイニングテーブルを挟んで娘が座り、私に

「はは、真面目な話。座って。ここに座って」

と両手をテーブルの上に伸ばして向かいの席に私を促した。

 私はその両手を取って娘の目を見ながら座った。

娘「分かる?」

私「うん」

娘「ああ、涙が出て来た・・」

 ティッシュを渡し、落ち着くのを待った。

娘「あのね、私、結婚しようと思う。ははが苦労してきたのは見てきたから知ってるんだけどね・・」そう言ってまた涙を拭く。

 用意してきた言葉があるのだろう。

 全部話し終えるのを待った。

 9月に5年付き合っている彼氏からプロポーズを受けたこと。

 2人で住むのは職場の隣町にしようと話していること。

 娘の上司だった方が今は彼氏の部署の上司になっていて、彼氏が業務で成果を上げた様子を教えてくれたこと。

 彼氏は年明けの資格試験に向けてすごく頑張っていること。

 人当たりは良いし付き合い上手だから職場の人間関係は上手くいっていること。

 ・・・

私「決めたんじゃね?」

娘「うん」

私「その人がいいの?」

娘「うん」

私「娘ちゃんが幸せになれるんならいいよ。それが絶対条件」

娘「うん」

 また泣き出した。

私「予想してた反応と違った?」

娘「結婚自体を反対されるかと思ってた」

 一昨年、娘が彼氏を伴って帰省しようとしたときに、私が返答に困って一時返信しなかった事があった。その時は娘一人が帰省し、彼氏の実家から我が家宛てと更に私の実家の両親宛てに山のような土産と作農している米を持ち帰ってきた。

 こちらからの手土産に困った。頂いたものに見合うお返しを娘に好みを尋ねたりして選んだ。

 それから暫くして娘は彼氏と一緒に我が家の隣町に宿を取って帰省してきた。

 彼氏はその時

「娘さんとお付き合いしてます」とだけ言った。

 そして彼氏の実家や親戚への土産を山のように買い込んで帰っていった。

 あちらでは周知の事実だし、娘は受け入れられているんだろうなという気がしていた。

 嬉しいというのとは違う、寂しいというのとも違う、複雑な心境。

 娘が結婚する時って、母親はこんな気持ちになるものなのか。

 車で片道7~8時間の道のりを、娘は一人で帰っていった。

 これからは2人で来るのなら、道中も安心かな・・そんな気もした。

 

 

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