「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る元介護職兼介護支援専門員の日常

他者から見える私と本当の私

 ゴールデンウイークでも入居施設は稼働中。

 祝日は上が居ないし外線電話がかかる頻度も低い。会議も無い。

 溜まった事務、特に月末締めの仕事を片付けたい。

 いつも緊張ムードの事務所だが今日は穏やかで、何かの用事で入って来る職員もおしゃべりしていく。

 最近忙し過ぎてギスギスしていた栄養士が隣の机で仕事をする。

 気を遣ったが、話をしながら打ち解けていくのが分かった。

 彼女が心を病んで最近薬を飲み始め、今は楽になったと言った。

 私は少し前に言いたい放題言われて傷ついていたので、一日話す中でその話題にも触れる事があり、わだかまりも解けた・・・完全じゃないけど言えて多少癒えた部分はある。

 その代わり仕事が期待したほど進まなかった。

 退勤時間を過ぎて2人共静寂の中でパソコンに向かい頭をフル稼働させる羽目になった。

 看護師が書棚を空けて物を取って行った。暫くしてまた来て

看護師「あれ? 私開けっ放しだった?」

 書棚の扉が半分開いていた。

栄養士「誰か居るのよ、ここ」

私  「え? 座敷童?」

 それから暫くした頃、コピー機から書類を印刷していた。途中で、コピー機の下のシュレッダーがブーンと動いた。

私  「今、シュレッダー動きましたよね?」

栄養士「動いた! だから居るって、ここ。守り神だと思って。大丈夫」

 結局、退勤時間を1時間半過ぎて2人共帰ることにした。超過勤務届は出さなかった。

 帰り際、彼女に

「今日はありがとう。腹を割って話せて良かった。こういう機会は大事じゃね。考え方とか似てるのが分かったし。これからも頑張ろうね」と言われた。

 私は、飄々として見えるらしい。

 本当は自己嫌悪の塊で、自分を必死で保っている。いつもギリギリの精神状態で、出勤時間が近づくと腹具合が悪くなる。

 こちらこそありがとうございました。これからもよろしくお願いします。

 私はそう言って、帰った。

 仕事は残ってしまったが貴重な一日だった。

 これだけ話したら、もっと気持ちが楽になるものかと思ったが、辞めたい気持ちは変わらなかった。