「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る 元介護職 兼 介護支援専門員の日常

公立高校入試出願状況発表 家族の受験戦争を振り返る

 受験シーズンも終盤にさしかかる。

 先日公立高校入試の出願が出揃い、受験倍率が発表された。

 夕方のローカルニュースを見ながら、息子と夕食を摂っていた。

 県内ほぼ1倍台で、2倍が数校あったが、我が家の近隣の高校は1.0~1.1倍で、希望校に入学出来る計算だ。

息子「定員をオーバーして合格を出すことあるんかね?」

私 「補欠合格って聞いた事あるから辞退者を想定して多めに合格を出すんだろうね。今年はみんな行きたい高校に行けそうでいいね。息子君の時は隣市の進学校が大幅に不合格を出したから高専に流れてきたよね」

 現在社会人になって丸2年になる息子が高校受験の年に、公立高校入試の出願を締め切ってみると隣市の進学校が驚きの倍率になっていた。県立高校は1校しか受験できないし願書提出後の変更も出来ない、この進学校に不合格で国立高専を併願して合格した生徒が多く高専に入学した。そのあおりを受け高専もまた驚きの倍率でハイレベルになってしまった。

 我が家は娘と息子が3学年違いで娘が大学、息子が高校のダブル受験だった。

息子「そうそう。あの時俺落ちたと思った。母さんが迎えに来てくれた時、解答が張り出されてて、自分が書いたのと全然ちがってたから。〇〇校へ行けばいいやって思った」

 県立高校入試速報は試験当日の夕方テレビで解説と共に放送されるが、国立高専は放送は無く、試験終了と同時に学内に掲示されていた。

 結果論だが○○校に願書は出していたが、高専の合格通知が先に来たので受験はしていない。

私 「いやいや。娘ちゃんが高校3年間あれだけ勉強して泣きを見たんだから、いっそ勉強せん息子君に○○校には行かせられん。○○校は普通科なんだから大学目指して勉強せんといけんのよ」

息子「就職の時勉強したじゃん」

私 「そう!初めて見たよ!(笑)」

 息子は高専本科5年から専攻科へ進学し、専攻科1年の時に公務員試験を受けている。高専本科生の時でさえ自宅では何故か勉強出来ない事を自分で分かっていて、学校に残って勉強して帰っていた。その息子が就職試験の前には自宅で勉強する姿を見せたのだ。相当難しかったらしく高専初の就職浪人になってしまいそうでさすがに焦りがあった。

・・自宅で勉強してたのほんの数ヶ月な。いい顔してたよ。やれば出来るじゃん・・

私 「あの年に2人の受験が一度に終わってホッとした。もう1回とか私が精神的に無理だった」

 ちょうどその年の同じ時期に私は介護福祉士の国家試験を受験しており、母子3人受験生だったせいで、母が子に「勉強しなさい」という画が我が家には無かった。

私 「『母さんが一番勉強せん』とか言われてさ」

息子「寝てたもんね(笑) 働きながら勉強とか、俺には出来ん」

私 「でしょ。分かって貰えて有難いわ。2人共、学生の時に資格取っといて正解よ」

 娘は保健師、息子は土木技術職として、それぞれ役所に勤めている。

 昔も今も裕福とは無縁なことに変わりは無いが、各々働いてその苦労を労いささやかな幸せを感じられる。

 2人が専門職を目指したのは私が反面教師になったのは明らかだ。

 あの頃は必死だった。

 こんな風に懐かしく笑って話せる時が来るとは。

 息子が素直に気持ちを伝えてくれるようになったのはここ数年で、そんな風に考えていたのかと嬉しく思ったり、その頃は気付かず申し訳なく思ったり。

 あと少し。

 頑張れ受験生!

 頑張れ受験生のお母さん、お父さん!

 サクラサク春はもうすぐだ。