「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る 元介護職 兼 介護支援専門員の日常

自分は「駒」気が楽になった話

 手術前に事務を引き継ぐために、現場に入らず3日連続事務の日を予定していた。

 しかしその直前日に職員が一人発熱し、夜勤要員がいなくなった。そこで白羽の矢がピューンと飛んで来た。事務、事務、事務の三日間が、夜勤入り、明け、休みに化けた。三日間の予定の事務を、一回の夜勤中にしなければならない。

 でも、やってみると、今出来る事は限られていた。

 新しい介護保険証が届かなければ情報登録出来ないし、情報登録しなければ計画書は作成出来ない。新規や変更の無い計画書だけ書式を整え、文字を入力するだけの状態にした。

 介護保険は月末締めなので、翌月にならなければ出来ない仕事が多い。

 去年、介護職が入院の為数か月休んだ時、現場が人員不足でてんてこ舞いだった。

 私はシフトで現場にも入るが、自分のユニットの事務を自分一人でしているので、知る人がおらずにやらなければならない事を忘れて減算になってしまう心配がある。

 しなければならない事を紙に書きだしてみたが、日頃事務をしない人にはピンと来ないようだ。 

 更新申請を出した利用者についてはその後の事務を隣ユニットの計画作成担当者に頼んだが、その他はうちのユニットのホーム長とリーダーが頼りだ。

 心配ばかりが先走っていた私に、隣ユニットの計画作成担当者が言った。

「大丈夫よ。何とかなる」

 

 そうね。

 自分が、自分がと思っているのは自分だけで、職場はどうとでもなるものだ。

 任せて休もう。

 勤務表によると暫く会えないだろうからと、ホーム長がホワイトデーのプレゼントを下さった。奥様手作りのマスクとマスク入れのセット。奥様は元々手芸の秀でた方で、以前名刺入れも頂いている。おしゃれで売り物のように完成度が高い。

「入院する時に持って行って」と言われた。

 私は仕事の心配をしていたのだが、ホーム長は勘違いしたようで、

「大丈夫。信じて(手術)受けておいで」

 入院中もメールは出来るよねと、念を押された。

 書き出した紙を私もコピーして持っておかなくちゃ。きっとこの内容を尋ねられる。

 明日は今月分の担当者会議を予定している。今月だけは早くてすみません。

 会議録をまとめ、モニタリングを記録し、計画書を作成、発行するのを、次回、最後の夜勤で仕上げなくてはならない。残業だね。

 頭の中は仕事でいっぱい。