「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る 元介護職 兼 介護支援専門員の日常

初診2週間後に手術

 半年前、住居地市内の整形外科で初診を受けた時「変形性股関節症」と診断され、治療法は無く、人工股関節置換術を勧められた。手術をしたら1か月入院、職場復帰は早くて3か月、完全復帰は半年かかると言われた。1か月経過観察して診察を受け、次は3か月後に検査と診察の予定だった。その間「自分でも色々調べてみなさい」と言われた。

 ネットで調べ、職場や周囲の人にも聞いてみたりして、セカンドオピニオンを求めて近所に新しく出来た、評判の良いクリニックに行ってみた。

 結果、医師の診断は同じだったが、そこはクリニックなので、手術をするには提携している県病院へ紹介状を出すと言われた。「2週間で退院して『リハビリよろしく』って帰って来る」と言われ、違う手術なのかと思った。

 股関節、膝関節の治療においてはその県病院が症例が多い事も分かった。

 親から貰った健康な体を切って異物を入れる事に大いに抵抗があったが、考えてみれば既に健康とは言えず、決心するまで時間はかかったが、ようやくクリニックの医師に紹介状をお願いした。

 そして県病院で初診を受け、説明を聞く限りでは、半年前に行った市内の病院と同じ手術だと思った。急性期医療を担う病院だから2週間で退院になり、その後自宅退院かリハビリ病院への転院かを選択するという事らしい。初診を受けたその日、2週間後に手術出来る日があるがどうするかと問われ、いやもう、「お願いします」と答えた。

 レントゲン、MRI、血液検査、尿検査をして検査結果の説明を受けた。

 何度か通うかもしれないが念の為と思い、その日息子と一緒に行って良かった。

 家族は来ているかと問われた。手術を受けるにあたり、家族の同意が要る。2人で診察室に呼ばれ、症状を説明され、実際に置換されるそのものを見せられた。工具みたいだった。これが私の体の中に入るのかと不思議だった。

 場所を変え、入院についての説明を看護師から受けた。

 そしてまた違う窓口で、必要な手続き等の説明を受けた。

 書類が、抱える程たくさんの量になった。

 

 全国健康保険協会支部に限度額適用認定申請書を依頼した。退院時に窓口での支払いが一定の金額までになる。

 身体障害者手帳自立支援医療の申請書類を病院で受け取り、居住市役所の福祉支援課に提出した。この手術を受けると、一年限定ではあるが身体障害者に認定され手帳を保有する。自立支援医療は、医療を受ける事でその障害を除去、軽減して職業能力を増進する事が確実に期待出来る人がその医療を受ける際に、医療費の支給を受けられる制度だ。この申請の為に病院から受け取った書類に手術に要する概算額が示されていた。・・・私の年収より高額だった・・・

 月々掛けている共済から共済金請求資料を取り寄せた。退院時の診断書と共に提出して共済金を請求する。

 

 朝9時過ぎに県病院に着いて初診を受け、病院を出る時は3時になろうとしていた。

 会計の精算機の前で「おわ!」とのけぞってしまった。1万7千円を超えていた。お金持って来てよかった。日頃こんなに持ってない。

 

 翌日早番で出勤するのだが、病院を出てすぐ職場に電話で一報を入れた。

ホーム長「え? は? いや、ちょっ、ちょっと待って! そんなにすぐ?」

 ・・・2週間後だからねえ・・・一報入れてよかった。

 翌日出勤すると、ホーム長から関係部署へ滞り無く連絡が行きわたっていた。新しい勤務表が出来上がり、他部署で事務を担っていたが休むことになる所にも早々と知られていて、挨拶に行った時には「お大事に」と言われた。

 

 この日の検査で思わぬ副産物があり、骨密度が極端に低い事が判明した。

 退院後、即刻治療を始めるようにと医師に言われた。