「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る 元介護職 兼 介護支援専門員の日常

子供は野放し 公共施設でのマナー

 霊柩車には故人の棺と喪服の奥様が乗って来られた。

 告別室へ案内し、他の遺族の到着を待つ。

 葬儀社アシスタントが遺族を案内する中に、小学生が10人以上いた。

 告別室でおつとめが終わると炉前へ出て棺を火葬炉へ見送る。

 厳粛と言う程ではないにしても、せめて騒がず、子供は親の傍に居てほしい。

「えー何あれ?」

「やば」

 炉の中を見たいが為に、炉に入る棺に近づく。

 危ないので離れるよう職員が促しても、一瞬、半歩離れすぐにまた近づいて覗き込む。

 親は子供の名を呼んで手招きするが、子供は好奇心が優先するらしく、ちょっと親を見るがすぐにまた体を前のめりにして覗き込む。親は仕方がないと思うのか、そのまま放っている。

 火葬をする間の1時間位をロビーや待合室で大人しく待てない。

 かくれんぼをしていると言い、火葬棟へ走って入って来た。

 他家の火葬が終わってお骨を熱々の火葬炉から出そうとしていた所だった事もあり、火葬棟入口でこの建物には入らないよう促した。大人の姿は無い。

 

 収骨の放送がかかるとダッシュで火葬棟へ来る。

 まずは喪主に当家と確認してもらう必要があるので子供達を止めるのだが、喪主に「どうぞ」とあゆみを勧めた瞬間に子供達が先に走る。

 台車の周りは熱いので気を付けるよう注意を促すのだが、それを打ち消すように

「え?なにこれ!」

「やば!こんなんなるん?」と近くに来て騒ぐ。

 危ないので離れるよう何度も促し先に進めない。

 

 その家の収骨は、自身が小学1年生を筆頭に3人の子供を持つ男性職員が担当し、困惑しながらもなんとかまとめていた。

 

 引率してきた葬儀社アシスタントも手を焼いていた。

 親が子に構おうとしない。叱らない。周囲の大人も注意出来ない。

 平日に学校を休んできたのだろう。小学校の制服を着ていた。

 悪い事をしたらここの人に怒られるよ、と言う。

 そうじゃない。

 公共施設でのマナーを親が子に教えるべきだ。

 少なくとも騒いで良い場所ではない。

 親もその場での振る舞いが分からないのならせめて子供に傍に居て同じようにするよう促すべきだ。

 間違ってる?