「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る 元介護職 兼 介護支援専門員の日常

今週のお題は「七夕」

施設では季節の行事をする。七夕も、運転手が差し支えない場所から笹を切ってきてくれて、施設の入り口に立てた。
 レクリェーションの合間に手先の器用な利用者にこよりを作ってもらい、色紙を縦半分に切ってこよりをつけたら、あとはお願い事を書くばかり。
 利用者一人一人に好きな色の色紙を選んでもらい、自分で書ける人にはペンを渡して自分で書いてもらう。書けない人、書きたくない人は、職員が聞いてその場で代筆する。
 
 「家族皆が健康で幸せでありますように」
 「残り少ない人生が充実した日々でありますように」
 「今日一日を元気で過ごせますように」
  ・・・・・

 足の悪い利用者がいる。送迎は車椅子。苑内では椅子に座り変え、トイレなど移動は持参の4点歩行器を使用している。 デイサービスには入浴目的で来ていると言う。自宅では危ないから、と。リフト浴で入っている。
 そんな彼女の傍で願い事を聞いてみると、遠慮する。
「私が書いて差し上げます」
と言うと、
「早くお迎えが来ますように」
・・・困った・・・
「他にありませんか?」
と尋ねると、
「焼き場の順番が早く来ますように」
・・・書けなかった。

 なんとかしたいと思いつつ、七夕は来てしまった。
 
 体の不調を抱えつつ、一日一日を何とか生きている。デイサービスはそんな利用者の集まりでもある。自宅では出来ない、おしゃべり、入浴、マッサージ、リハビリ、食事・・・ 出会いと刺激を求め、集う。ここで笑顔が出て、今日がいい一日だったと思ってもらえたら、今日の私達の仕事は達成である。