「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る 元介護職 兼 介護支援専門員の日常

今週のお題「花火」

職場は海水浴場の松林の傍にある。仕事帰りの路肩には、海水浴客の車が列になって駐車している。
「今日も浜は賑わったんだろうな」
と思いながら、毎日家路をたどる。
 
 年に一度、浜で大花火大会がある。今年は4200発の花火が打ち上げられた。その日は出勤。そのまま残って花火を観る職員もいて、食べ物、飲み物の準備などしていた。
 職員なので、駐車場に困ることはない。
 残って仕事していてもいいが、帰ってまた来るほどたっぷり時間はあった。
 せっかく花火を観るなら、子供も一緒に観たい。
 
 いろいろ考えて、一旦帰ることにした。

 その、帰るのが大変!!
 
 いつも駐車車両が列をなしている道は歩行者天国になって車両通行止め。
 迂回路も曲がろうとするたびに進入禁止。
 県道に出てからも対向車線は渋滞。

 嫌だ。
 花火大会にはもう来ない、と決めた。

 同じ日に市内でも祭があったので、息子と二人、自転車で行ってみた。こちらも十分賑わっている。息子は出会った友達とつるんで出店巡りをし、私は一人椅子に座ってポテトなど食べながらステージを見ていた。仕事で疲れていたこともあり、こちらに来て正解だったと思った。最後の花火、息子集団は一発一発コメントしたり飛び上がったりして、大騒ぎしながら楽しみ、私も息子も結構満足して帰途についた。

 事故。
 坂道を下る途中のバス停で縁石がカーブしている所に接触し、転倒してしまった。左手をついた、左肩も擦った。息子が駆け寄ってきた。
「大丈夫? 今のは痛かったね。」
と起こしてくれた。車道側に倒れたので、車が来なかったのが幸いだった。
 また自転車を漕ぎ出してからどうも調子がおかしい。手が痛いだけでなく、視野が変。ムカムカもする。途中で止まり、息子に家の鍵を渡して先に帰らせた。
 携帯に主人から電話がかかった。
 「迎えに行くから自転車はそこに置いておけ」と。
 
 家に着いてしばらくしてから、娘に聞いたのだが、息子が帰宅するなり私の状況を話した。その時主人は手元に自分の携帯がなかったらしく、傍でスマホをいじっていた娘のをもぎ取って私に電話したらしい。娘が
「なんだかんだ言っても好きなんよ。」
と言った。