「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る 元介護職 兼 介護支援専門員の日常

「そりゃ 無理いね!」

午前中走り回っているところを、事務室の前で主任兼生活指導員に呼ばれたのだが、「忙しければ後で。」
 そして昼にも走っているのを通りすがりに呼ばれて、今度は立ち止まった。
「ねぇ」この方はいつも話がこのせりふから始まる。
「3ヶ月ぶっ通しレク担って本当なん?」
 レクリエーション担当者は、毎日1時間ある午後のレクリエーションの予定を立て、準備をし、実施する。通常1ヶ月で交代するのだが、何故か勤務し始めた翌月から来月までの3ヶ月を担当するよう別の主任から言われていた。
 
 次月の行事等勘案しながらレク予定カレンダーを作り、予算を計上して事務に依頼。その月になったら当然毎日準備や練習に追われる。大変なのは皆承知なので協力体制は万全なのだが、下準備で遅くまで居残っている。
 今月は紙芝居を予定した日があって、休みの日に図書館へそれらしい紙芝居を借りに行き、声の配役や歌など交えてのレクの1時間の時間配分など打ち合わせをした。
 給食がおでんの日には「おでん祭り」と称しておでんゲームをすることにして、その数日前のレクで習字があったときに、利用者に「大根」「玉子」など半紙に書いてもらって、祭りの前日に暖簾のように天井に飾った。糖尿病や刻み食、その他食事に制限のある利用者や仲の良い悪いを考えながら席次を決め、名札をセッティング。
 外部からの慰問を受けたり、バスを出して紅葉見物に出掛けたり。その順番や人数を振り分ける。曜日別に来る人を割り振り、車椅子の数、配車、・・・
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 そして、主任兼生活相談員の話に戻る。
「来月の話がだいぶ進んでるんだったら続けてもらうけど、きつくない? 大丈夫? 出来る?」
 いや、ここはぜひともやめさせてもらいたい。
「でしょ。そりゃ無理いね。まだ入ったばっかりで覚えることもいっぱいあって、やらんといけんことも山積みで帰りは遅いし、出来んことも多くて、本人バテてるし。みんな、心配してるよ。いい人に恵まれたね。ほんと、みんな、心配してるから。じゃ、主任に言っとくね。」
 決定は聞いてないけど、この方の一声でだいたい変わるので、早くも肩の荷が下りた思いだ。
 
 今週から来週にかけて、月末の報告書を作成する。
 デイサービスって、どこもこんなに大変なんだろうか?