「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る 元介護職 兼 介護支援専門員の日常

ゴミをゴミ箱に捨てる文化は世界共通ではない

 介護現場にも外国籍の技能実習生が入職する。半年間は一人換算が出来ない。必ず職員が同行し同じシフトになるよう組まれる。3年後には介護福祉士国家資格を目指す。

 2年前の春、外国人技能実習生が来ると決まってから、コロナで入国延期が続き2年の間に「もうやめたら」という現場の声とは裏腹に、施設は契約したアパートの家賃を払い続け、先月20歳前後の2人が入国、今月下旬から現場に入る事になった。

 施設職員が時間を合わせ、施設長以下7人で買い物に繰り出した。

 既に電気店で照明や洗濯機、炊飯器、ガス台等購入してあったので、その日は家具日用品店へ。ベッドに寝転んで寝心地を確かめたり、シーツは自分ならどれが好きかと話し、ダイニングテーブルとセットの椅子は色違いがいいねと家具を選ぶ。

 風呂用桶、シャンプー、リンス、石鹸、可愛い柄のタオルとバスタオルを合わせて7枚。物干し台。押し入れ用衣装ケース、トイレの上にツッパリ棚。姿見の鏡。リビング用掛け時計と2人用目覚まし時計。2人が違うシフトになるだろうからお互いを起こさないように静かな時計を選ぶ。ゴミ箱は分別用に4個、台所用に可燃、不燃セット1個、2人の個室用に1個ずつ。ゴミをゴミ箱に捨てる文化が無いらしい。日頃ゴミを一所に集め、分別して収集日に出すまで教えなければならないと、この時知った。買い物用に保冷バッグをお揃いで1個ずつ。食料品の買い物にはこれを持って行って、帰ったら冷蔵庫に入れて、くれぐれもお腹を壊さないようにとよくよく説明するよう施設長に指示を受けた。実習生たちの生活相談役を仰せつかっている。この日の買い物は家具の他に、日用品が大きなカート5台分になった。

 手厚い。

 2990円の枕は私が欲しいと思った。1990円の立派な保冷バッグでなくても・・。

 可愛いタオルを最初から7枚ずつ新品を買い与えられる。

 「少し高いけど、こちらの方がいいから」と少しずついい物を選ばれる。全て施設長のお気持ちに由る。

 日本語が全然話せないらしい。でも英語は話せるらしい。

 来る予定で来れなかった2年間、日本語を勉強しているものと思っていた。

 逆にその2年間あちらの言葉を私達も学ぶ時間があった事にもなるのだが。

 英語を自由に話せたら、実習生に生活習慣も、介護も教えてあげながら、私もあちらの事を知る事も出来る。まず会話が弾む事が望ましい。

 ゴミの分け方や出し方を教えてあげなくちゃ。ゴミをゴミ箱に入れる事は万国共通ではない事を知った。

 これからもっと知らない文化を知る事になりそうな気がする。思いもよらない事が起こるかもしれない。お互いに当たり前が当たり前でないと知る時、言葉で説明する術は必要だ。

 介護現場のドタバタは続く・・・