「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る元介護職兼介護支援専門員の日常

皆我慢して働いている

 

 職場で定期的に全職員を対象とした研修がある。

 今月は人権をテーマに役所から講師を招いて研修があった。

 主にハラスメント、LGBTに関する内容だった。

 誰よりもパワハラしてる施設長は研修30分前に所用で出掛けた。

 

 毎朝の朝礼の時間には空気が張り詰める。時々恫喝。職員が泣くまで突き詰める。

 施設長が出ていくと静かな「ふぅー」が事務所内に充満する。

 午後、上階の施設長室から「帰ります。さよなら」と内線があり事務所内に伝えた時には「はい」と誰もが短く返事をした後で、時間をかけて解けていく。

 

 1週間位前に、現場の職員が入居者を移乗しようと抱えた際に腰を痛め、軽いヘルニアとの診断で暫く休んだ。当然他職員にも勤務変更が及んだ。ケアマネが施設長に報告しようとするのを施設長付の課長がストップをかけた。他職員の急な勤務変更に事情を考慮して、ああ言ってこう言って・・と考えて伝えたらしい。

「それって、労災?」施設長のその一言で、課長はまた青ざめた。

「は? あ! そうですね」

 その後何があったのか分からない。常に色んな案件を抱えている。

 翌日、課長が疲れた顔で「明日休むわ」と有給を取った。

 

 施設長が退社して数時間後、その話題になった。

 課長はそこまで気を遣うんよね。

 あの人の代わりは出来んね。

「何で相談も無いの?」と施設長はよく言うけど相談しにくくしてるのは本人よね。

 言われればもっともなんだけど、睨まれたら固まって何も言えなくなるよね。

 相談員、ケアマネ、事務員。ここを辞めても何処でも立派に仕事が出来る精鋭達がこの事務所に集まっていると私は思うのだが、施設長の目指すものはもっと高い所にあるようだ。

 課長が「ボーナス要らんから課長職降りたい」と言った。

 

 分かるけど、私達のボーナスは10万円台なのだから、その職降りて平のボーナス貰ったら、課長職のボーナスが懐かしくなるんじゃないかな。

 私達の我慢代は10万円。あなたの我慢代は・・・