「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る 元介護職 兼 介護支援専門員の日常

認知症が進行して家族が分からなくなる

 90歳台のふじかさんの嫁様から面会の希望を受け、気候も天気も良かった事もありテラスでの面会となった。

 嫁様の顔を見て「おー、どうしたの」とすぐに喜びの反応を見せたのだが、面会の終わりに嫁様に呼ばれて迎えに行くと、ふじかさんは私の手を取り「帰ろ」と言う。

 認知機能低下が進んでいる事は以前から分かっており、嫁様はふじかさんに家族や孫の写真等を見せたが反応は薄く、嫁様の事も誰だか分かってない。悲しいけど、やっぱり毎日接してる職員さんの顔が一番分かるみたいねと嫁様に言われた。

 支援計画書の書き換えの時期なので、生活の意向を尋ねたのだが

「なかなか会えないし状態もよく分からないので、お任せしますから本人に合うようにしてください」と言われた。

 コロナ云々となる前は数日おきに面会に来ておられた。

 嫁様は義妹である娘様と仲が良く、職員としてもどちらも接しやすかった。

 支援計画も、こうなっていくのも仕方がないのかもしれない。