「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る 元介護職 兼 介護支援専門員の日常

職場でグループライン

夜勤が明けて帰ろうとしていた時、ホーム長の携帯が鳴った。

「は? 事故?」

事務所内にただならぬ空気が流れた。

 遅番で出勤途中の職員がバイクで転倒し負傷している。これから救急搬送されるという連絡だった。ホーム長が場所を聞き、社用車で現地へ行って状況を確認した。

 この日の遅番は欠勤となり、早番と日勤でカバーする事となった。

 

 夕方目が覚めて、その日夜勤に入るリーダーに、必要なら勤務を代わるので連絡下さいとラインを送った。リーダーもこの前日体調不良で欠勤している。

 送ってから、グループラインにメッセージが来ている事に気付いた。

 

 事故にあった本人から「ご迷惑おかけします」

 続いてリーダーが「しっかり休んで治して」

 事態を知らないメンバーから「私も迷惑かけてます、すみません」

 もう一人まだ知らないメンバーが「迷惑なんて思ってないよ」

 私が名指しで「大丈夫?」

 本人「手足傷だらけで包帯ぐるぐる巻き」

 事態を知ったメンバーが「ゆっくり休んで。早く治りますように」

 

 先月事業所の避難訓練があった際、連絡網で自分の関連する職員の連絡先は自分の携帯に登録しておくようにとホーム長から指示があった。その訓練後、初めて今の職場でグループラインを作る話が持ち上がり、全員参加で出来上がってリーダーが「近いうちに試しに連絡してみようね」としめていた。

 初めてのグループラインは思いがけずこうなった。

 

 あらためて、この職場に居られる事が嬉しかった。

 

 リーダーから電話で今後の勤務の相談があり、

「いっとき苦しいけど、みんなで協力して乗り切ろうね」と言われた。

 私は3連続夜勤となったが、皆で背負っている一体感と役に立てている実感がある。

 新しく組まれた勤務表によると、事故にあった職員が出勤すると想定される日以降、私は月末近くに3連休がある。つまりそれまで休みはお預けなわけだ。

 

 ちっとも嫌な気がしない。

 

 交代勤務の為職員同士が顔を合わせる機会はそう多くない。

 でもこんな風に繋がり、皆が皆を思いやって、気持ちよく仕事をしようという空気感がある。

 これからも大切にしたい。