「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る 元介護職 兼 介護支援専門員の日常

職場の人間関係を取り持つ立場

今週のお題「夏を振り返る」

 春も仕事だったけど、夏も仕事だった。

 違う事と言えば、退職が相次いだせいで新人が大量入職してる事と、今年から年休を5日以上取得する事になったお陰で休みが増えたくらい。

 看護資格、ケアマネ資格の両方を持つ女性が新人介護職として入職した。さすがベテランらしく、自分のやり方を活かしてくれる。医師とのやり取りにも専門用語が飛び交いこれまでの我が施設とは一味違うかの如くこちらが圧倒されているし、家族への対処も手馴れている。

 

 ところが必ずしもそれを良しとしない既存職員はいるもので、鬱憤が溜まっていたのだと思う。

 その既存女性職員が、ナースリーダーと私が居る事務所に息も荒く入って後ろ手に扉を閉め、

「もう私、キレた!」と言った。入居者の昼食時間だった。

 新人の食事介助のやり方に我慢出来ず、

「そんなやり方・・・」と食介している本人にも言い、事務所でもぶちまけた。

「だいたい、いつもこの人は・・・」と積もり積もった気持ちをも吐き出した。

 その剣幕を受け止めるのに、事務所の空気が変わった。

 夜勤でリーダーが来たら話そうという事で、その場は収まった。

 

 夕方リーダーが出勤した時、時間がある時に話したい事がある、既存職員からも話があるかもと伝えたが、結局その日はそのままになった。

 翌朝、夜勤明けのリーダーに前日の事を伝えると、

「利用者に対して以上に、職員同士が難しいよな」と言い、勤務表を見て直接会って話せる日を探していたが、

「ちょっと先になるな」と帰って行った。

 その後ホーム長、隣ユニットのリーダーも知る所となった。

 

 その日の昼、新人職員と昼食休憩が一緒となり、2人で向かい合ってご飯を食べた。

 彼女から「昨日ね・・・」と話し始めた。

 以前勤めていた病院で普通にしていた食べさせ方をしたら、ここではいけない事だと、すごくすごく言われた。もうすまいと思う、と言う。

 カーテンの向こうで独りご飯を食べていたホーム長にも会話に入ってもらい、その場は穏やかに収まって、ほっとした。

 

 彼女は前日からずっと気にしていたに違いない。私に心を開いてくれたのだと思った。キャリアも資格も実践力もある彼女が、こんな風に受け止める事は容易ではあるまい。ここで新人であるが為にせんない思いをしている。この件は私が収めたい。

 

 前日「キレた!」と言った職員が、その日夜勤の為夕方出勤してきた際に、ホーム長も交え、昼に新人と話をした事を伝えたのだが、彼女の怒りは収まらず、

「施設長に言いつけちゃる」とまで言う。

 

 よほど積もる思いがあったのだ。

 どうもこの二人は性格的に難しい様相なのは気付いていた。

 小さい芽を摘んで来なかったつけが露呈した形だ。

 私は職員それぞれが、危険を伴わない限り自分で考えてする介護を奨励する見方を持つ。

 しかし職員によっては超えてはいけない一線が存在している事を痛感した。

 しかも、そこ!? という所・・・いや、今回は積みあがった頂点とも言える。

 

 自分が置かれた中堅的立場と力不足を痛切に感じる。

 どうするのがいいのか分からない。