「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る 元介護職 兼 介護支援専門員の日常

今週のお題「運動会」施設での運動会

今週のお題「運動会」年齢を重ね、暑さ寒さを避けて快適に暮らせるようになった高齢者には、季節の感覚が薄れてくるらしい。夏でもセーターや、肌寒いと厚いジャケットを羽織ろうとする。

 春には花見に出かけ、夏には祭りや花火、そして秋の行事と言えば運動会となる。

 施設の中で、午後のレクリエーションの1時間程で楽しんでもらえる催しを考える。運動会と言えば、玉入れ、パン食い競争、障害物競走。

 玉は前もって利用者に作ってもらい、一緒に投げる。動ける利用者ばかりではないので、職員がかごを背負ってフロア内を移動。相手チームの前は猛ダッシュする。


 パン食い競争は「手を使っちゃダメ」と何度言っても必ず手が出る。他の皆が指さして「あー」と声が出る。なのに自分の時には手が出る。職員も参加。口に入りそうになると仕掛け人がちょこっとパンを引っ張ったりする。

 障害物競走は歩ける利用者がスタート直後のメモを見て、そこに書いてある利用者観客席のだれかの帽子や応援うちわ等を借りてゴールを目指す。アンカーを務める職員はメモでなくステテコや腹巻き等、置いてある衣装の中から相手と争いながら着てフロア内を走り、皆さんに声援をいただく。

 ポイントは、見てもやってもいいが、参加してもらうこと。
 そして笑ってもらうこと。

 毎年案を練り、準備におおわらわだが、
「今日は面白かった。あんた達大変じゃったね。」
と笑う利用者の言葉に救われる。


 ・・・デイサービスではそうしていた。

 今の施設では地域の運動会に職員数人が準備や当日参加している。
 入居者とはテレビで運動会の様子を見ながら
「今日は体育の日だって。」
と話しても10月8日ではピンと来ない様子。


 現実問題、日中職員が2〜3人しかいない状況で、行事をするのは難しい。
 介護現場でも楽しみは必要だ。
 入居者には「今日もいい日だった」と思って寝てほしい。
 分かってはいるが、日常生活だけで職員はいつも手一杯でフル稼働している。
 人手が欲しい。
 介護に関する資格を持つ人はたくさんいるだろうに、何故か常に人手不足に悩まされている。