「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る 元介護職 兼 介護支援専門員の日常

訓練の朝

一緒に訓練に通うようになって親しくなったFっちは、うつ病パニック障害を持っていることを、自己紹介でカミングアウトした。その薬の副作用でいつも睡魔と闘っている。
 運転手が最初に拾うFっちが、「乗った」コールをくれてから時間を見計らい、待ち合わせ場所で拾ってもらうと、隣で
「すいません、今日ちょっと・・・」と言うので、
「OK」
そうは言っても、何をどうしたらいいのかわからない。どうしてほしいか尋ねると、
「わかっててもらうだけでいい」と。
 昼ご飯は食べれたり、食べられなかったり。
 食べられなかった翌日、完食できて喜んだのもつかの間、午後の講義が始まるや、中座してトイレで吐いてしまった。
 もともと介護経験のあるFっちは、実習はプロい。他の班に出張したりして、
「はしゃぎすぎた」とまた凹んでいる。
 自分の感情をコントロールできずにいるのかもしれない。
 今日は心優しい運転手が、昼に刺激の強いキャンディを彼女にあげていた。眠気に効くようにと。
 色んな経験をして、色んな理由で、職業訓練に集まった面々は、一種独特の連帯感というか、同じ痛みを共有出来る空気がある。