「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る 元介護職 兼 介護支援専門員の日常

空気には色がある

「豊かなんだなぁ」と思った。
 職安の帰りにドラッグストアで買い物をした時。
 60代くらいの夫婦と見受けられたが、会話は至って普通。アイスクリームの前で「安い」とご主人。3割引の表示。既に買い物籠にはハーゲンダッツの小カップが20個位。奥様「ホントね。」
 穏やかに話しながら二人で陳列棚の間を買い物カートを押して歩く。
 レジに並ぶと前で清算中。
ご主人「これも」とタバコをカートンで追加。
奥様「いいよ。」
レジを打ってた店員「スプーンは? このスプーンでいいですか?」
奥様「いいのがあるの?」
 店員、隣のレジに探しに行く。
ご主人「もう、後ろで待ってるから・・・」
と私を気遣う。迷惑そうな表情をしていただろうかと考えてしまった。買い物籠二つ分お買い上げだったし時間がかかったのは事実。隣のレジの方が絶対速かった。
 派手な井出たちでも横柄な態度でもない。柔和な表情、穏やかな言葉、その雰囲気と品を備えた見た目にも、いろんな意味で余裕があるって、分かるものなんだと羨ましくなった。
 翻って自分。かくありたい。でも今はもちろん、これから勉強して職についても、果たしてこんな余裕な人間になれるか・・・