「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る 元介護職 兼 介護支援専門員の日常

術後、まもなく1か月

 職場の上司からメール。

「ドライブがてら来ませんか?」

 ・・・マジか・・・

 

 ・・・患部が右股関節なのでまだ運転してません。

 そう返信すると、電話がかかってきた。

 まあ、色々ある。

 

 偶然なのだが、私が股関節の手術に至った発端はこの上司だった。

 私が足を引きずりながら仕事していたのを、股関節が悪いせいだと話したら、実はこの上司のお母様が市内の病院で手術を受けて一か月入院したという情報をくれたので、私もその病院の医師を頼って受診したという経緯がある。その後私は違うクリニックから県病院へ紹介を受けて県病院での手術となり、2週間強で退院している。

「私は術後まだ一か月になりません。お母様ならまだ入院中だった時期です」と伝えた。

「ああ、そういえばそうか」 それで分かって貰えるので話は早い。

 

 翌日、息子が学校から早く帰れたので、夕方職場へ連れて行ってもらった。

 

 先月の給料明細と、先月退職した職員からの可愛いプレゼントを受け取った。上司はこのプレゼントが菓子だと思い込んで、早く渡したかったようだが、私にはハンカチだった。色んな人に、気を遣わせてしまっている。

 総務にも行く事を伝えておいたので「健康保険 傷病手当金支給申請書」を用意してくれていた。休んだ日にちを、有給休暇と傷病手当をどう組み合わせて申請するかという話になった。有給休暇なら100%、傷病手当は60%の支給額となる。年度で消滅する有給休暇を消化し、あとは傷病手当にする方向で話がまとまり、総務で計算して貰えるとの事だったので、先月分と今月分の欠勤届と有給休暇届を日付空欄で提出した。

 

 退院後、週3回リハビリに通っている。

 昨日辺りから、右向きに寝返りを打てるようになってきた。すぐ上向きに戻らなきゃ痛くて、右を下にしてる時間は秒だけど。

 まだ、歩き方が分からないというか、歩くのに違和感を感じている。

 傷は綺麗になりつつある所と、盛り上がって赤みを帯びている所があり、まだ熱感がある。

 自宅からクリニックまで数百メートル。車は運転していない。まさか自転車に乗る勇気はない。でも歩いて行くと痛みが出るし、途中で休める場所も無い。理学療法士に、危なくない場所で車の運転を始めてみてはと言われた。病院まで歩けるくらいの数百メートルを、運転してみる事に、自分の中で躊躇している。医師には「自分で急ブレーキを踏めると思えば運転していい」と言われているので、私次第だ。

 でも他者からの見た目では、私はあくまでも普通の人で、普通に歩いている。遅いし、壁に沿ってるけど、という印象だろう。

 

 今月、退院1か月後の診察で、職場復帰の為に、出来る事と出来ない事を医師に聞かなければならない。

 職場からこうして連絡を貰えるのは有難いのだが、自分ではまだ、一日仕事出来る自信が無い。