介護職の日常

高齢者入居施設に勤める介護支援専門員の仕事と家庭。

「二十歳」の力

 息子が国家試験の一次試験受験の為、隣県へ出かけた。

 私はその試験会場まで自家用車でドライブがてら送迎するつもりで先月から職場に希望休を申請していたのだが、コロナの心配や試験会場がJRの駅から徒歩圏内でもあり、JRを利用し息子一人で行く事にした。

 日頃は自転車と自家用車で移動し、バスや電車等の公共交通機関を利用する事が無いため、息子は一人で乗った事も切符を買った事もない。

「自宅最寄り駅より少し離れた駅から往復切符を買うと安いよ」

 私がそう言うとすぐ携帯でささっと調べて「ホントだ」と言っている。そういう作業は速い。

みどりの窓口分かる? 新幹線口の方になるけど。在来線の改札口の手前の小窓から顔を出してる駅員さんに尋ねてみるといい」

 

 色々助言しながら少し離れた駅まで車で送る。

「送迎用駐車場で降りる? 一人で大丈夫? 立駐に車停めて後から行こうか?」

 

 送迎用駐車場に停まって車を降りる時、息子は言った。

「いや、一人で行ってみるよ。二十歳(はたち)だから」

 

私 「そう。じゃ、帰っていい? 少し待ってようか?」

息子「・・・帰って。いい。一人で」

 そう一言一言区切りながら頷きながら言い、車から降りて行った。

 

 息子の迷いと、心細さと、決心が見えた。

 気になったけど、私はそのまま帰路についた。

 いつでも引き返せるよう車線を選んで走り、携帯を隣に置いて気に掛けていた。

 でも鳴らなかった。

 

 電車に乗ったであろう時間にラインしてみようかとも思ったけど、あえてこちらからはしなかった。・・・すると一日かかってこなかった。

 試験始まった頃ね。

 頑張ってる頃だ。

 終わった!

 12時から17時までの試験の間、時計を見ては気になっていた。

 

 随分過保護にしてきたものだと、我ながら思った。

 でも、多分、行けたな。という確信めいたものもあった。

 こうやって経験を積んで自立していくんだね。

 やや遅い?

 

 二十歳。

 その言葉には不思議な力があるように思えた。