「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る 元介護職 兼 介護支援専門員の日常

台風一過

今週のお題「もしもの備え」

 台風情報を受け、直撃は免れそうな進路予想でも今回の10号は怖かった。

 くじは当たらないがその日の夜勤には当たる。

 前日、マスクをしてもその大きな目で職場の空気をキンキンに凍らせる施設長が来て「明日夜勤、遅刻も欠勤も認めないからそのつもりで余裕を持ってよろしくね。

 懐中電灯はある?予備電池これね。カセットコンロは?中に入れるカセットガスは?・・・」

 

 夜勤は通常通り一人体制。

 停電を心配し、電気が点くうちに浴槽いっぱいに水を溜め、お茶、コーヒー、紅茶等作れる飲み物を作り、嚥下困難者へのお茶ゼリー、紅茶ゼリー等も用意した。他に何かしといたほうがいい事は・・・考えるのだが思いつかない。

 夜勤は一人だが早番を増員された。特にホーム長は朝6時過ぎに出勤してきた。

 暴風で少々心細かったので、顔を見た時は嬉しかった。

 朝食は前もって特別メニューとなっており、紙コップ、使い捨てスプーンも用意されたが、幸いにして停電は無く、ほっとして帰った。帰りの道は交通量が少なかった。

 翌日の洗車場は長蛇の列だった。

 もしもの物の備えもだが、心の備えも不十分だった。

 

 保健所の保健師として働く娘が、避難所スタッフで昼には90人くらいだった避難者の人数が夜には120人超になり、ディスタンスを取るのも難しかったと言った。

 台風とコロナ、どちらからも守らねばならない。

 この夜勤は大変だっただろう。

 受け入れ準備から翌日の片付けまで、娘の話を聞いて、避難者を受け入れる側の立場を初めて考えた。