「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る 元介護職 兼 介護支援専門員の日常

事故報告

施設で生活する中で、いつも同じようで、毎日が違う。

 ヒヤリとした事、ハッと気づいた事、起こってしまった事故を、日頃の生活記録とは別様式で提出する。いつ、どこで、どんな状況で起こり、どんな対処をしたか。今後の対応を示し、再発を防ぐ事を目的とする。

 入居者の居室で転倒があった。午後入居者様が一人で居室にいる時だったのだが、その報告書を読んだユニットリーダーの逆鱗に触れた。

 家族の気持ちになって考えろ。

 ありのままを書け。

 言い訳するな。

 

 報告書は書き換えとなり、その日出勤しその時の事を把握していた職員皆が話し合って連名で報告書を再提出するよう指示を受けた。

 交代勤務の為、出勤、退勤の時間はズレているが、退勤時間を過ぎた職員は超過勤務扱いとされ、ホーム長にも協力を要請し協議と報告作成がなされた。

 協議の終わりにホーム長が言った。

 

 起こるのは仕方がない。

 一人ではどうしようもない事もある。

 オープンにして、一人で抱えこまないように。

 次に起こらないためにどうしようかと考える機会にして下さい。

 一人の問題ではなく、法人全体の問題にもなり得るのだから。と。

 

 入居している一人一人が、家族にとって大切な人なのだ。

 私達はその命をお預かりしている。

 常に緊張感を持ち、目を離さないようにしなければならない。

 決して軽視している訳ではないのだが、業務に忙殺される中でおざなりになってはいないか。

 今回、リーダーの厳しさが私自身の緩さの戒めになった。