「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る 元介護職 兼 介護支援専門員の日常

今週のお題「スポーツの秋」

新人戦の時期である。
 土曜日に息子の勇姿を見るべく、月曜から5連勤頑張った!!

 身も心もボロボロ。足の付け根が痛くて歩き方が変になる。
 腰から悪い為だと分かっているが、日中立ちどおし、歩きどおしの仕事なのだから仕方がない。湿布2枚貼り、鎮痛剤を服用して仕事に出る。健康診断の際に肝臓の数値が悪い一因と言われる。


 中学で陸上競技部に所属する息子は始め1年近く1500mに出場していたが、先生の薦めにより途中から3000mに転向している。

 今回の県体では3000m競走に40人出場者があり、2組に分かれてスタート。同じ中学から2人出場者がいて、息子は1組、友達は2組にエントリーされていた。

 朝6時半の学校チャーターバスに乗って行き、なんと初めての開会式直後の9時半種目。

 こちらも勇姿を見逃さじと、朝大急ぎで支度してうちを出た。

 1番前の席でスタートから見守るも、夫婦二人声も出ず。

 スタート直後から、最後尾。

 二人でブービー争いするも、息子は結局最後にゴールした。
 

 2組目がスタートしてすぐ、2組全体が遅いことに気が付いた。ゴールしてみると、1位の子でも息子より数秒早いだけで、同じ学校の友達は息子より30秒以上遅いタイムが表示されていた。

 それまでの記録順に20人ずつの2組に分けられていたのだ。

 3000mだけを見終わって帰る前に声をかけようと学校の皆で荷物等置いている休憩場所へ行ってみたがまだ戻っておらず、他競技に出る友達と少し話をしてその場を離れた。トイレに行って、もう一度戻るか迷ったが、行ってみてまたその場に居ずに息子に声をかけられなくても、もう帰ろうと決めて行ってみた。

 いた。

 ビリを走った息子が、投げやりになってないか、心を腐してないかと気になり、なんと声をかけようかと考えながら近づくと、息子のほうがこちらに気が付いて手を挙げた。

「お疲れ。頑張ったね。」
隣にいた、2組を走った友達にも同じように言った。

 息子は持っていったおむすびをほおばりながら、
「後でウィダー買いに行く。」
と言った。離れた店のため、
「一人じゃ危ないからだめよ。誰かと一緒に行って。」と言う私に
「過保護か!!」と笑いながら、周囲の友達と一緒に行くことにしていた。


 声をかけに行ってみてよかった。
 今日、大会を見に行ってよかった。
 息子が、大丈夫そうでよかった。


 そう、このために私は働いてるんだ。また頑張れると思えた。
 今夜は、息子の好きな鍋にしようと、買い物して帰った。

 子供を産んでよかった。
 私はこの子の母でよかった。
 いろんなことを考えながら帰った。

 息子が生まれた時、息が無かった。蘇生して、
「・・・ほぇ〜・・・」
と弱弱しい第一声が聞こえたのを覚えている。
 生きて欲しいと思った。
 この子の全てを私が引き受けるから生きて欲しいと願った。

 あれから13年。
 同じ年の子より何でも遅れをとっていた。体も小さい。頭のねじも、外れて違うねじが入ってしまっているんじゃないかと思うことがある。それでも、この子が少しずつ、出来ることが増えてくるのを見るのが嬉しかった。

 きっと大丈夫。
 これからも強く生きてくれると、今日は確信できた。
 ・・・逆に、私もしっかりしなくちゃとも・・・