「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る 元介護職 兼 介護支援専門員の日常

夢の話

ちょっと離れた地区への送迎者の中はメンバーが決まっている。
 5台ある送迎車だが、この車内には独特の空気がある。曜日によって多少の人の入れ替わりはあるものの、だいたい席も面子も決まって気心が知れるというのか。
 
「昨日いい夢見た」
という利用者。15年前に亡くなったご主人が来て守ってあげるよと言ったそうだ。そして「帰る」と言ってあの世へ帰って行った、と。生前の仲むつまじさが窺え、会いたい、会えてうれしいと思えることが羨ましかった。
  
 夕方送る時も「帰りたくない」という利用者がいる。
 独居で寂しい、と。デイサービスへ行くのを楽しみにしている、というより、話す相手があることが楽しみなのだ。
「犬相手にしゃべっても笑わんし。よそじゃ笑ってるか知らんがうちじゃ笑わん」
なんて、車中では息つく暇も惜しんでしゃべり通し。
 
 いろんな人生がある。

 
 寒さに負けずにデイサービス。
 楽しみにされているのは働き甲斐があるというもの。