「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る 元介護職 兼 介護支援専門員の日常

今週のお題「甘酸っぱい思い出」

旅行会社勤務の同性の友人と二人でハワイ旅行。
 ホノルル直行便、行き先がハネムーンのメッカであることを機内にいながらにして思い知らされた。二人がけのシートの隙間から見えてしまうもの、二人して目のやり場に困ったことは言うまでもない。空気が湿って息苦しい。専用機と化している。 
 現地でアルバイトの大学生が観光案内の補助などしていて、親しくなった二人に話を聞いたり夜景を見に連れて行ってもらったりして、思いのほか楽しませてもらった。
 翌日帰国となった夜、電話してから部屋へ上がる、と友人と離れて角を曲がった瞬間、学生の一人が立っていた。
「ワタシハ アナタト コイニ オチマシタ」
 ・・・・・・直 訳 !・・・・・・
緊張した面持ち、真剣な目をして、ゆっくり、言葉を確かめるようにそう言った。しっかりと厚い辞書を抱えて。
 辞書の例文にそう書かれてあったに違いない。一人で何度も言う練習をしたのだろうか。辞書を改訂する時には例文に意訳をつけるべきだなどと、勝手に考えてしまった。
 翌朝、空港行きのバスを送り出すまでがこのツアーでの仕事だったのだろう。お互い見えなくなるまでじっと見ていた。いい人なんだろうなぁと思ったのだが、思い返せばこの旅行、いろんな場面において自分には危機感が無さ過ぎたと反省した。
 本当に「いい人」で良かった。