「生きる」を考える

斎場にて人生の終焉を見送る 元介護職 兼 介護支援専門員の日常

「全骨収骨」に拘らなくても

斎場で焼香が終わるとお棺を炉へ収め断熱扉を閉めて火葬が始まる。火葬が終わって温度が下がるのを待ち・・と言っても400℃を切った辺りなので熱々だが・・断熱扉をこの時初めて開ける。骨受け皿には木製のお棺に使われていた釘類、排気ファンやボイラーの勢…

危険物受験 勉強する楽しさと覚えられない辛さ

「乙四」と聞いてすぐに分かる方もいるだろうが、私は分からなかった。 まず「何語?」・・日本語でお願いします・・というレベル。 その言葉を初めて聞いたのは去年の年末頃。去年入職した3人に責任者が言った。 「来年、3人は乙四ね。6月かな」 一緒に入職…

クレジットカード 契約は易く解約は難し

時々行くショッピングモールで、我が家の娘とそこの息子さんが同級生のお母さんが立っていた。ちょうど娘と一緒に行っていたので「久しぶり」と声をかけた。 その日彼女はそのショッピングモールが提携してお得に使えるクレジットカードの契約者を募っており…

凹んだ時の対処法 文字より声

仕事で凹む事があった。 その日帰宅していつものように夕飯を準備し、出来上がる頃息子が帰宅したのだが、 「疲れた。お腹空かないから先に食べてて」と言い、隣の部屋の畳の上であちらを向いて横になっている。 息子も色んな事があるだろう。 私もあれこれ…

参観日「待っちょったのに」 捨てられない手帳

先日23歳の誕生日を迎えた息子は社会人になってもうすぐ1年。口数は多くないが、発する言葉は中立的で的を得ている。時に「そんなに言わなくたって・・」と思うような図星な発言があるが、よほど言わずに我慢した挙句にようやく口にしたのかと思われる時と、…

息子の冷静なツッコミに脱帽

自家用車を購入して1年になる。 3年落ちの中古車で2万㎞走っていた。 自分の運転に不安があったので、今回購入する車は安全装置満載にし、それなりに高額でも納得して購入した。 購入して1ヵ月後、車列に並んでいる時に後ろから追突され、バンパーを修理し…

おひとりさまの終焉

遺族が1人とか2人とかいう場合、家族だったり、後見人だったり、市役所職員だったりするのだが、施設職員が一人で見送りをされたケースがあった。 霊柩車でお棺に入った故人様だけが到着した時、運転手が 「今月末には108歳になるんだったって」と言った。 …

暴言を受け流す技

お題「わたしの仕事場」 私より3か月先に入社したH先輩と、私より1ヵ月後に入社したT氏は20代前半の高校の同級生同士。私が入社した時には、H先輩は他先輩方と同じにバリバリ仕事をしていた。私やT氏に対しても惜し気なく教えてくれるし声もかけ易い。 ある…

丁寧で親切な対応を心がける

私の勤める斎場は公共施設でありながら、PFI方式(Preivate Finance Initiative)で民間企業が火葬業務を行っている。 定期的に統括する支店からモニタリングを受け、日々の職員の対応や施設設備管理、環境整備等チェックがある。 モニタリング結果報告に支…

霊柩車と自家用車で到着時刻が違う

今週のお題「かける」 葬祭業でも接客が主な仕事なので遺族に声をかける事から始まる。 葬儀社から斎場へ故人の棺と共に霊柩車に乗って来る方が喪主とは限らない。どんな方が来られるかも当然だが分からない。たいていは故人の家族が遺影や位牌を持って霊柩…

ばね指⁉

朝目覚めると右手中指が曲がったまま伸びない。カクン!と痛みがあり伸びたが、これがばね指かと思った。 1年近く前から右手親指付け根が痛かった。整形外科に掛かり母指CM関節症と診断を受け、専用の装具を購入した。良くはならないと言われている。「こん…

雪の日の反省

10年に一度の大雪と言うが、10年前から今年までこんなに低い気温は記憶にない。 出勤時間を1時間くらい遅らせて車に積んだ雪を落とし、エンジンをかけて家を出た。上り坂をゆっくり進んでいたら、職場の上司から電話。車を停めて話して良かった。現在地を知…

小さなお棺

立て続けに死産の火葬があった。 妊娠12週以降に母体内で胎児が死亡した場合は病院で死産届書を受け取り、役所に提出する。役所から火葬許可証の発行を受け、斎場にて火葬が行われる。 幼いお子様の手を引いて来られる時もある。喪主夫婦に悲壮感が無ければ…

美容院でお願いした髪型にならなかった

お題「気分転換」 髪を切った。 去年末に地域のチラシを見て予約を取ろうとしたが取れず、年明け1週間くらいでようやく取れたので行ってみたら「担当者が体調不良で休み自分一人しかいないし、今は待ってるお客さんがいるので」と断られた。再度予約を取って…

死後を考える

特別お題「わたしの2022年・2023年にやりたいこと」 私の2022年は転機の年だった。 介護の世界で利用者を看取る事はあったのだが、今はお棺に入って葬儀社から霊柩車に乗って来る故人を受け入れ遺族と共にお見送りする仕事をしている。故人はその間に身体を…

仏様の意思

今週のお題「ビフォーアフター」 転職した。 介護業界から葬祭業へ。 介護を始めたきっかけは、仕事を求めてハローワークに通っていた時に壁に貼ってあった介護職員基礎研修の基金訓練受講者募集だった。自分の親に介護が必要になった時に適切なサービスを受…

初めてのボーナスの使い道

冬のボーナスが出たらしい。 夜仕事から帰って来た息子が、夕食の支度をしている私の横に来て 息子「ボーナス出た」 私 「おぉ、おめでとう!」 息子「何食べたい?」 私 「え?外食で?」 息子「うん」 今春就職した息子にとって、初めて満額支給されたボー…

棺の中に入れる副葬品は可燃物を

斎場での私の仕事はほぼ接客業務。 火葬業務は一通り教えて貰うが、それは火葬を担当する職員の動きを理解した上で接客をして欲しいとの責任者の指示だった。 ある日突然「今日火葬やってみる?」と責任者に同行して貰い実際の業務を担当した。 それから数日…

収骨壺を選ぶ時の注意点

人が亡くなるのは突然の事で、事前準備をしているのは稀だ。 葬儀社で紹介される収骨壺の大きさもデザインも、時には名入れが出来たり、壺を入れる化粧箱や風呂敷、結び紐が付いていたり様々だ。実際に墓に収める時には骨壺のみだったりするので、化粧箱等の…

ペースメーカー埋め込み有りの申告が必要な訳

斎場でのお見送りや収骨に立ち会い、故人がどのように生きたか、愛されたかが窺われる場面がある。 葬儀社を出棺後、斎場でお勤めと焼香をして火葬炉に入る直前に最後のお別れをする。 お棺の中のお顔を自然に撫でる行為は、その方への情の証だと感じる。 火…

入職1か月後に後輩が出来た

私と1ヵ月違いで新人が入職し、半月が経過した。 その一生懸命な姿に、1ヵ月前の自分が客観的に重なって見える。 新人は既に告別後のお別れの口上は出来るようになって独り立ちし、今は収骨の勉強中。新人の今だから色んな職員のやり方を見て学べて羨ましい…

収骨にて

斎場での出会いは一期一会。 その場での対応がこの斎場職員の態度と捉えられると考えると、かなり気を遣う。 故人を独りでお見送りされた女性がいた。 緊張した面持ちでこちらの進行に従いお見送りをされ、1時間余り経って収骨の案内に従い収骨室に入られた…

炉前の人間模様

葬儀社での告別式を終えて斎場に来られるのは故人に近い関係の遺族が来られる場合が多い。コロナで人数制限が設けられていたが、最近は多少緩和されている。 火葬炉に入る棺を見送る前には色んな人間模様がある。 「ばあちゃん、目を覚ませ! 今なら間に合う…

斎場へ転職 毎日一生懸命

お題「わたしの仕事場」 転職して1ヵ月。毎日一生懸命だった。 介護施設を退職して斎場に就職。 明るい職場で驚いた・・というか、私の勝手な想像で暗い職場をイメージしていたのだと思う。 霊柩車を迎え、告別室でお勤めが終わると遺族は火葬炉の前で故人と…

突然の不調 

朝7時過ぎに起きて来た息子が何となくぐったりソファに寝転んでいる。 「またあの症状」と言う。夜中に突然の頭痛、吐き気、耳鳴り、腹痛。目をあけているはずなのに目の前真っ暗。これが3回目だと言う。3回とも夜中に症状が出ている。2回目はコロナワクチン…

勤務最終日の複雑な心境

最後の勤務を終えた。 最終日は日勤で事務だった。業務の引継ぎをし、入居者家族に挨拶の電話をし、関わった職員に挨拶をして、ロッカーを片付けて、残りの時間はフロアで入居者と関わろうと思った。 夕食を終えてゆっくりしている入居者一人一人に 「今日で…

台風14号

自宅に居てこれほど恐ろしいと思う暴風雨も記憶に無い。 3連休だが、市役所土木課勤務の息子は自宅待機で日中も夜間も携帯を側に置いて過ごしていた。 土曜日の午後工事現場を見に行っていた。 日曜日夕食後に「0時に出勤する」と言う。要請があったようだ…

退職まであと2日 最後の担当者会議

退職が近づき、一つずつ行事が終わっていく。 最後の担当者会議を開催した。公休や夜勤明けの職員も午後の会議の時間には出勤して会議に参加する。 「私が司会をする最後の担当者会議です。よろしくお願いします」と始め、最後に「お陰様で無事終わりました…

職安窓口対応の違い 就職決まったら辞める前にする事とは?

ハローワークで求職活動していた時 「次の仕事が決まったら、今の仕事を辞める前に来て下さいね」と言われたのに、決まったから行ってみたら、窓口で 「え? いや、何もありませんよ」と言われた。 窓口対応した人は違う人だったけど、そんな事ある? ちょっ…

介護業務最終日 ボソッと聞こえる職員の本音

介護現場の勤務が終わった。 最終日は遅番に人員不足の為の1時間超過勤務が付いていた。 最後まで超過勤務。 現場はこんなに人員不足なのに、退職してごめんなさい ちなみにこの日は夜勤明けにも早番にも漏れなく各々超過勤務が付いていた。 早番だったT氏が…